
蒼井優が主演する金曜ドラマ「Tシャツが乾くまで」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)の第2話が7月17日に放送された。咲子(蒼井)は、夫と同じ事故に巻き込まれて亡くなった妻を持つ樹生(中島歩)から、夫が不倫していたと告げられ、調べることに。気丈に振る舞っていた咲子だが、その胸の内があらわになる場面が切なかった。(以下、ネタバレを含みます)
■二組の夫婦の喪失から始まる“愛”と“秘密”の物語
本作は、「silent」(2022年、フジテレビ系)などの脚本家・生方美久氏が、とある事故に巻き込まれた二組の夫婦の“愛”と“秘密”を描くオリジナルストーリー。
地上波連続ドラマ18年ぶりの出演となる蒼井が演じる主人公・咲子(さきこ)は、出版社で結婚情報誌の編集担当として働く40歳。優秀で仕事はできるが、私生活では面倒くさがりで少し抜けている部分も。何事も真っすぐ純粋に受け取るタイプで、愛する夫と幸せな結婚生活を送っていた。
だが、ある夏の日、夫ともう一組の夫婦と事故に巻き込まれ、幸せな日常が崩れ去る。さらに、その事故が暴いたのは、愛する人の“第3金曜日の秘密”だった。
■咲子は夫の秘密について調べ始める
バス事故で夫・充(松山ケンイチ)が行方不明になった咲子。同じ事故で妻・あずさ(夏帆)を亡くした樹生。似たような境遇から奇妙な連帯関係が生まれていたが、樹生の「あなたの夫、僕の妻と不倫してましたよ」というまさかの言葉に緊張が走った。
直後、咲子は笑い、冗談だと受け取った。しかし、樹生は自身が目撃した充とあずさが“第3金曜日”にコインランドリーで会っていたことを明かす。ここで、視聴者の第1話考察で話題になっていたコインランドリーに向かう充のあとを樹生がつけていたことも明らかになった。
さらに、バスで空席があるにもかかわらず隣同士で座っていたことも聞いた咲子。にわかには信じられなかったが、もしかしたら充は自分に言えない不満を抱えていたのかもしれないと不安もよぎった。
そこで咲子は樹生と一緒に、充が営む喫茶店の従業員・直人(高橋文哉)や、あずさがパートとして勤める古書店の店主・宮内(リリー・フランキー)らの元を訪れ、事故の日までのあずさと充について調べることにした。
■気丈に振る舞う咲子の悲しみの深さ
直人、宮内の証言で、それぞれが夫、妻の知らないことがあったのだと突き付けられた咲子と樹生。そんな中、樹生はたまらず「不倫でもなんでも、知らない何かがあっても、生きて帰ってくれたら、それでよかった」と涙をこぼすと、咲子は気遣う言葉をかけた。
そのとき、スマホに着信があり、会話をすぐさま止めて、画面を確認した咲子。それは実母からで、咲子は複雑そうな表情だった。おそらく咲子が待っているのは充についての連絡だ。その慌てぶりから、本当は悲しみに押しつぶされそうな咲子の心の内が見えたようだった。樹生も、咲子が気丈に振る舞っているだけで、精神的には参っているのだと悟った。
宮内は自分のところに一緒にやってきた咲子と樹生に「同じ境遇で意気投合して、喪失を埋めるように惹かれ合った」とデリカシーのない言葉を投げかけた。また、直人も別日に1人でやって来た樹生に「ちょうどいいじゃないですか。不倫されてたならすぐ乗り換えるのに罪悪感ないし、身近にちょうどいい人いるなぁって」と、咲子とのことをあおった。直人はおそらく咲子に片思いしている節があるのだが、それはともかくとして、この2人の言葉はその後の展開を、ある意味で予期させるものとなった。
■充を思い起こさせる香りがする樹生にくっつく咲子
樹生が直人と会ったあとの帰り道、咲子の家の前に差し掛かると、咲子が悲鳴をあげて飛び出してきた。驚いた樹生に咲子は助けを求めた。大の苦手な虫が家の中にいたのだ。
樹生は虫を捕まえてやり、使ったチラシをゴミ箱に捨てようと近づいたとき、咲子は「たばこ」とポツリ。
少しシーンをさかのぼる。咲子が頼まれて樹生の息子を少しだけ預かったときのこと。仕事を終えて迎えに来た樹生を玄関に招き入れると、樹生から漂った香りに咲子は「充」とつぶやいていた。
その日にずっと止めていたたばこを再開したという樹生。咲子は、樹生に近づいて改めて香りを嗅ぐと、「やっぱり」と小さくほほ笑んだ。充の吸っていた銘柄と同じだったのだ。
咲子は、家に置かれていたたばこをそのまま嗅いでみても、自分で吸ってみても、充の匂いとは違うと感じていた。このとき気付いたのは「吸った人の服について、ちょっと時間が経った匂い」だということ。
「やっと見つけました、この匂い」。咲子はそのままゆっくりと樹生の胸におでこを当て、充と同じ匂いを嗅いだ。
「ごめんなさい…背もちょうど同じ高さなんです。だから…すいません」と、ささやくように言葉をつむぐ咲子。突如いなくなった愛する夫。目には見えない悲しみがどれほどに深いものか、胸に迫る。ただ、同時に危うさをはらむ展開だ。
それは咲子だけでなく、樹生も。「やっぱり」と言って指摘したのは、咲子の髪から漂うシャンプーの香りが自分の家で愛用していたものと同じだということ。それまであずさが買ってきてくれていて、容器を詰め替えされていたのか、銘柄が分からずにいろいろ買ってみたものの探し当てられていなかったと打ち明けた。
香りをきっかけに、過去の記憶や感情がよみがえることを“ブルースト効果”という。それぞれ、夫、妻と一緒に過ごしてきた中で親しみを持っていた香りは、一気にそれをよみがえらせる。その香りが、喪失感の中にいる2人の距離を近づけた。偶然でいて、切なくも、なんというドラマチックさ。樹生が咲子の肩に手を伸ばし、宮内や直人の予言のような言葉の方向に進むのか…そう思われたとき、咲子のスマホが鳴り響いた。「嫌な予感する」という咲子の言葉。その真相は次週に続く。
SNSには「タバコの香り、同じ背丈 あの距離感ドキドキした」「香りの記憶がこんな展開に」「香りの持つ記憶力はすごい」「香りでもう会えない大切な人を思い出す2人の姿に泣いてしまった」といった声が上がった。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

