
「行き遅れたくないから」と、夫としてはよさそうに見えた今の夫と結婚したハル。しかし、東京から大阪への転勤を機に、知人も友達もいない土地でひとりぼっちになってしまう。家政婦のような結婚生活から離れたことで、自分が打算的に結婚した事実に気づいていく――。漫画家のただっちさん(@tadatsuchi5555)が描くコミックエッセイ『夫がいても誰かを好きになっていいですか?』のあらすじとともに、作品に込めた思いを聞いた。




■結婚3年目のすれ違いと「打算」の気づき
結婚して3年、夫の転勤で大阪へ引っ越してきたハルと夫は、すでに1年以上もレス状態。結婚2周年の記念日にすれ違って以来、関係を修復できずにいた。孤独を抱えるハルは休日に出かけたいと願うが、慣れない職場で疲弊する夫と言い合いになり、「オレありきで遊ぶことを考えてるのやめなよ。ハルも自分の世界を見つけなきゃ」と突き放されてしまう。
環境を変えようとパートに出始めたハルだったが、初出勤の報告をすると夫から「オレはハルと違って一日中働いてるんだよ。ちょっとは気遣ってほしいな」と釘をさされる。「たくさん稼いでいるほうに気を遣わなければいけないのか」と不満を募らせるなか、ハルはパート先の大学院生・後藤と出会う。夫と真逆の価値観を持つぶっきらぼうで優しい彼に、ハルは次第に惹かれていく。しかし、自分が既婚者であることをどうしても打ち明けられずにいた。
■人間の弱さと「心が揺らぐ瞬間」を描くこだわり
本作は不倫というデリケートなテーマを扱っている。ただっちさんは「KADOKAWAの編集さんから提案されたときは、正直かなりドキッとした」と振り返る。しかし、「一人の人だけをずっと愛し続けるのは難しいのではないか」という根源的な疑問に向き合い、ストーリーを組み立てていった。
「『不倫』を肯定したいわけではなく、人間の弱さや心が揺らぐ瞬間を素直に描きたかった」と語るように、作中では罪悪感を抱きつつもときめいてしまう心の動きや、不倫相手を美化する一方で夫の欠点ばかりが目についていくリアルな葛藤が丁寧に描写されている。さらに、相手に既婚者だと打ち明けられないハルの曖昧な選択についても、「今の関係を壊したくないという弱さの延長線上にある」と、人間の身勝手ながらもリアルな心理を突いている。
取材協力:ただっち(@tadatsuchi5555)
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