心不全で食べてはいけないものとは?メディカルドック監修医が心不全発症のリスクを上げやすい食べ物などを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「心不全」発症のリスクを上げやすい「食べ物」はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。
「心不全」とは?
心不全とは、心臓に何らかの異常があり、ポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。この状態が進むと、心臓は無理して血液を送り出そうとしますので、次第に疲れて動かなくなっていきます。心不全は、病名ではなく、心臓のさまざまな病気や高血圧などにより、心臓に負担がかかった結果、最終的に至る状態です。
心不全発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物
心不全のリスクを上げやすい食べ物・飲み物には以下のようなものがあります。日常生活で目にすることが多いものばかりです。注意をしましょう。
塩分が多い食品
具体的な食品として、漬物、缶詰食品、加工肉(ハム、ソーセージ)、調味料などです。これらの食品は、塩分が多く含まれています。過剰な塩分は、血圧を上昇させ、高血圧を起こしやすいです。高血圧は心臓に大きな負担をかけ、心臓を疲れさせるため、心不全の原因となります。また、過剰な塩分摂取は、体内の水分バランスを崩し、むくみの原因となるのです。この状態は、心臓の負担を更に増やす状態に至りますので、心不全を悪化させます。
飽和脂肪酸が多い食品
具体的な食品として、 揚げ物、バター、脂身の多い肉(ステーキ、ポークチョップ)などです。これらの食品は、飽和脂肪酸の含有量が多いです。飽和脂肪酸は、LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を増やし動脈硬化を促進させます。この状態になると、血管内の血液の流れが悪くなるため、心臓はより強く血液を送り出す必要があります。長期間続くと、心臓は疲れてしまい心不全を起こしやすくなるため、注意が必要です。
糖質が高い食品
具体的な食品として、ソフトドリンク、キャンディ、ケーキなどがあります。高糖質の食品や飲み物を摂取すると血糖値が急上昇します。血糖値を下げるためには、インスリンというホルモンが必要です。しかし、高血糖状態が長く続くと、インスリンが効きにくくなる、インスリン抵抗性という状態になります。これにより、糖尿病のリスクが高まります。糖尿病は心不全の重要なリスク要因の一つです。また、過剰な高糖質食は肥満を起こし、心臓に負担をかけ、心不全になりやすくなるため注意をしなければなりません。
過剰なアルコール
ビール、ワイン、ウイスキーなどのアルコールの過剰摂取は要注意です。アルコールの過剰摂取は、心臓の筋肉を弱らせ、心臓のポンプ機能を低下させるため、心不全になりやすくなります。また、過剰なアルコールは、血圧を上昇させ高血圧を起こしたり、不整脈を引き起こしたりします。これらの影響も心不全のリスクを高める要因となり得るのです。
加工食品
具体的な食品として、ファーストフード(ハンバーガー、フライドポテト)、加工スナック(ポテトチップス、クラッカー)などがあります。これらの食品には、高塩分、高糖質、高脂肪な物が多いです。前に説明した機序が、包括的に作用するため、心不全になりやすくなるのです。加えて、加工食品には保存料や添加物が多く含まれています。こららは、体内に炎症を起こし、心臓や血管を傷つけるため、心不全のリスクを高めます。加工食品の頻繁な摂取は要注意です。

