塩分の“適正量”知ってる? 「脳梗塞」から寿命を守る「3つの予防策」とは

塩分の“適正量”知ってる? 「脳梗塞」から寿命を守る「3つの予防策」とは

脳梗塞は突然死に直結することがある一方、発症前に警告サインが現れることもあります。

脳幹や小脳の梗塞は、呼吸や心拍の調節に関わるため、重篤な場合には生命の危機に及ぶことがあります。また、「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれる前兆では、手足のしびれや言葉の出にくさなどの症状が一時的に現れたあと、消えてしまうことがあります。症状が治まったからといって安心せず、すぐに神経内科などを受診することが、その後の脳梗塞を防ぐうえで重要です。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

脳梗塞から寿命を守る——今日から始められる予防と対策

このセクションでは、脳梗塞を予防し、寿命を守るために日常生活で取り入れられる具体的な対策を解説します。難しいことを一度に全部やろうとするのではなく、できることから少しずつ始めることが大切です。

食事・運動・定期検診で血管を守る

脳梗塞の予防には、血管の健康を保つための食事管理・適度な運動・定期的な検診の三つが柱となります。

食事管理では、塩分を控えることが最優先です。1日の塩分摂取量を男性7.5g未満、女性6.5g未満を目標に食事を見直しましょう。すでに高血圧を指摘されている方や脳卒中をしっかり予防したい方は、さらに低い「1日6.0g未満」を目標にしましょう。 具体的には、インスタント食品や加工食品を減らし、調味料を計量して使う習慣をつけることが有効です。また、野菜や魚(特にEPA・DHAを多く含む青魚)を積極的に取り入れることが、血管の健康維持に役立つとされています。一方で、飽和脂肪酸(動物性脂肪に多く含まれる)や糖質の過剰摂取は動脈硬化を進めるため、量とバランスを意識した食事が推奨されます。

適度な運動については、厚生労働省は成人に対して1日30分程度、週5日以上の中強度の有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギングなど)を推奨しています。運動は血圧の低下・血糖値のコントロール・血液循環の改善に効果があり、脳梗塞リスクを下げることに寄与します。ただし、過度な運動や急激な運動開始は血圧の急変動を招くため、自分の体力に合ったペースで継続することが重要です。

定期的な健康診断では、血圧・血糖・コレステロール・心電図などをチェックすることで、脳梗塞のリスク因子を早期に発見することができます。異常が指摘された場合は放置せず、早めに内科や神経内科を受診して適切な管理を受けることが大切です。

脳梗塞を疑ったら——FAST(ファスト)で素早く行動する

脳梗塞は発症から治療開始までの時間が短いほど、脳へのダメージを小さく抑えられる可能性があります。「時間は脳そのもの(Time is Brain)」という言葉があるように、脳梗塞の治療においては時間との戦いです。

脳梗塞の主な症状をチェックするための覚え方として、「FAST(ファスト)」があります。

・F(Face:顔):顔の片側が歪んでいないか、笑顔がうまく作れないか
・A(Arm:腕):両腕を前に伸ばしたとき、片方の腕が落ちてこないか
・S(Speech:言葉):言葉がうまく出ない、または呂律(ろれつ)が回らない状態ではないか
・T(Time:時間):上記の症状が見られたら、すぐに救急車を呼ぶ

これらのいずれかの症状が見られた場合は、迷わず119番に電話して救急車を要請することが大切です。「症状が軽いから大丈夫」と自己判断して様子を見ることは、治療の機会を逃す危険があります。脳梗塞の治療(血栓溶解療法や血管内治療)には適応となる時間の窓(治療可能な時間帯)があるため、少しでも疑いがあれば速やかな行動が命を守ることにつながります。

日頃から家族や身近な方とFASTを共有し、万が一の際にすぐ対応できるよう準備しておくことも重要な予防行動のひとつです。

まとめ

脳梗塞は、日常のさりげない習慣の積み重ねによってリスクが高まる疾患です。朝の起き方から食事・運動・睡眠まで、日々の行動を少し意識するだけで、脳梗塞のリスクを下げることにつながります。TIAのような前兆サインを見逃さず、定期的な検診で自分の体の状態を把握することも大切です。気になる症状がある方や持病をお持ちの方は、神経内科や内科、脳神経外科などを受診し、専門の医師に相談することをおすすめします。自分と大切な方の命を守るために、今日から一歩を踏み出してください。

参考文献

厚生労働省 e-ヘルスネット「脳血管疾患(脳卒中)」

国立循環器病研究センター「脳卒中」

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」

日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2025)」

配信元: Medical DOC

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