「胆嚢がん」の“症状”に気づいたら?診断へ導く『4つの検査』と治療法【医師監修】

「胆嚢がん」の“症状”に気づいたら?診断へ導く『4つの検査』と治療法【医師監修】

胆嚢がんはどのような症状から始まり、どのように診断・治療へと進むのでしょうか。初期には自覚症状が乏しく、進行とともに黄疸や強い腹痛が現れる場合があります。受診の流れや検査の種類、手術・化学療法などの治療選択肢まで、一通りの流れを知っておくことで、いざというときに落ち着いて行動できるでしょう。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

胆嚢がんの症状に気づいたときの対処法と治療の方向性

症状に気づいたとき、またはリスクを自覚したとき、どのように行動すればよいかを理解しておくことは、早期対応につながります。このセクションでは、受診から診断・治療の流れを解説します。

受診の流れと診断に用いられる検査

胆嚢がんが疑われる場合、まず消化器内科や外科への受診が一般的な入口となります。問診では、症状の種類・いつから始まったか・食事との関連・既往歴(胆石・ポリープなど)・家族歴などが確認されます。

胆嚢がんは初期症状が乏しいため、「少し胃の調子が悪いだけ」「年齢のせいだろう」と考えて受診が遅れるケースもあります。しかし、右上腹部の違和感や食欲低下が続く場合、黄疸がみられる場合には早めの受診が大切です。特に胆石症や胆嚢ポリープを指摘されたことがある方は、症状の変化に注意する必要があります。

診断に用いられる主な検査は以下のとおりです。

・腹部超音波検査(エコー検査)
痛みがなく手軽に受けられる検査で、胆嚢の大きさや壁の厚さ、内部の異常(腫瘤・ポリープ・胆石など)を確認します。スクリーニングとして広く用いられており、異常が疑われた場合は追加検査が行われます。

超音波検査は健康診断でも実施されることが多く、胆嚢がんが偶然発見されるきっかけになることもあります。胆嚢壁の肥厚や大きなポリープ、胆嚢内部の不整な病変が見つかった場合には、さらに詳しい検査へ進みます。

・CT検査・MRI検査
胆嚢の形態や周囲臓器への浸潤、リンパ節・血管との関係を詳細に評価します。がんの進行度(ステージ)を判断するうえで欠かせない検査です。

MRIの一種であるMRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)は、胆管や膵管の状態を詳しく観察できるため、胆汁の流れの異常や胆管への広がりを確認する際に役立ちます。これらの画像検査によって、手術が可能な状態かどうかを判断する重要な情報が得られます。

・血液検査(腫瘍マーカー)
CEAやCA19-9などの腫瘍マーカーが参考として用いられますが、これらだけで確定診断はできません。ほかの検査結果と組み合わせて総合的に判断されます。

腫瘍マーカーは胆嚢がん以外の病気でも上昇することがあり、逆に胆嚢がんでも正常値の場合があります。そのため、あくまでも診断や経過観察を補助する指標として活用されます。

・内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)
胆管や膵管の状態を詳しく調べるために用いられる内視鏡検査です。胆汁を採取して細胞を調べたり、胆管が狭くなっている場合にステントを留置したりする治療も同時に行える場合があります。

黄疸が強い場合には、胆汁の流れを改善するためにステントを挿入し、症状の軽減を図ることがあります。これにより全身状態を整え、その後の治療につなげることが可能になります。

確定診断には、手術または生検(組織の一部を採取して顕微鏡で調べること)によって得られた細胞・組織の病理学的な検査が必要です。画像検査だけでは良性病変との区別が難しい場合もあり、最終的には病理診断によって確定されます。

治療の選択肢と日常生活への影響

胆嚢がんの治療は、病気の進行度(ステージ)や患者さんの身体状態によって異なります。

・外科的切除(手術)
根治を目指す場合、手術による切除が中心となります。偶然見つかった極早期では胆嚢の摘出のみで治療が完結することもあります。一方、術前にがんが疑われる場合は、播種のリスクを避けるため開腹手術が選択されることが一般的です。進行している場合は、隣接する肝臓の一部やリンパ節も合わせて切除する拡大手術が検討されます。極早期・診断確定目的では腹腔鏡が用いられる場合もあります。

胆嚢がんは早期に発見できれば手術による根治が期待できますが、早期発見が難しく、進行して見つかることが多いがんです。だからこそ早期発見・早期治療が重要です。

・化学療法(抗がん剤治療)
手術ができない進行がんや、手術後の再発予防・補助として用いられます。胆嚢がんに対しては、ゲムシタビンとシスプラチンを組み合わせた治療などが行われることがあります。

近年では、従来の抗がん剤に免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた治療が新たな標準治療として確立されており、治療選択肢と生存への希望は着実に広がっています。患者さんの病状や全身状態に応じて最適な治療法が選択されます。

・放射線療法
単独での効果は限られる場合もありますが、化学療法との併用で局所制御を目指すケースがあります。

また、病気による痛みや症状を和らげる目的で放射線治療が行われることもあります。がんの進行度によっては、症状緩和を重視した治療が選択される場合もあります。

治療を受けながら日常生活を送るうえでは、食事の管理(特に脂質の調整)、定期的な通院、適度な休養が大切です。胆嚢を摘出した後は胆汁を一時的にためる機能が失われますが、多くの方は時間とともに消化機能が安定し、通常に近い生活を送ることができます。

術後しばらくは脂っこい食事で下痢や胃もたれが起こることがありますが、身体が慣れるにつれて改善するケースが多くみられます。無理をせず、自身の体調に合わせながら生活リズムを整えていくことが大切です。

治療中に不安なことや疑問点があれば、担当医や医療スタッフに遠慮なく相談することが、治療を続けるうえでの大きな支えとなります。家族や周囲のサポートを受けながら、一人で抱え込まずに治療へ向き合うことも重要です。

まとめ

胆嚢がんは、症状が出にくいために発見が遅れやすい病気ですが、リスク因子を知り、定期的な検査を受けることで早期発見の可能性が高まります。特に胆石・肥満・糖尿病などのリスクを持つ方、40代以上の女性は意識的に腹部超音波検査を受けることが大切です。右わき腹の痛みや黄疸などの気になる症状がある場合は、早めに消化器内科などへ受診することをおすすめします。ご自身の身体のサインを見逃さず、専門の医師に相談することが、健康を守る第一歩となります。

参考文献

国立がん研究センター「がん情報サービス 胆嚢がん」

国立がん研究センター「胆のう・胆管」

日本癌治療学会 がん診療ガイドライン「胆道がん」

J-Stage「胆嚢癌の疫学とリスクファクター」

J-Stage「胆囊癌の診断と治療」

神奈川県立がんセンター「臨床外科 79巻7号」

配信元: Medical DOC

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