「サラセミア」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

「サラセミア」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

宮島 徹

監修医師:
宮島 徹(北海道大学大学院医学研究院血液内科学講座)

北海道大学医学部医学科卒業。亀田総合病院で初期臨床研修修了後、北海道大学病院血液内科に入局。以後、北海道内の複数の病院で血液内科医として勤務。現在は北海道大学大学院医学研究院血液内科学講座に所属し、研究に従事。日本内科学会内科専門医、日本血液学会血液専門医。

サラセミアの概要

サラセミアは、ヘモグロビンを構成するグロビン鎖というタンパク質の産生量が減少し、貧血を引き起こす遺伝性の血液疾患です。ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ重要な役割を担っており、その量的異常によって赤血球がもろくなり、体内で破壊されやすく(=溶血)なります。このため、肝臓や脾臓の腫れ(肝脾腫)や、顔の骨の変形、皮膚の色素沈着など、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります 。サラセミアには、不足しているグロビン鎖の種類によって、主にα(アルファ)サラセミアとβ(ベータ)サラセミアの二つのタイプがあります 。日本では、αサラセミアが約3500人に1人、βサラセミアが約1000人に1人の割合で発生しており、軽症型が多いものの、重症型に注意が必要です 。

サラセミアの原因

サラセミアのほとんどは、遺伝子の異常によって引き起こされます 。ヘモグロビンを構成するαグロビン鎖とβグロビン鎖の遺伝子は、それぞれ特定の染色体上に存在しており、これらの遺伝子に変異や欠失が起こることで、グロビン鎖の合成量が減少します 。遺伝子の異常の程度により、グロビン鎖の産生が全くなくなる「α0」型や「β0」型と、産生量が保たれる「α+」型や「β+」型に分類されますが、ほかにも遺伝子の異常パターンによって多種多様な型が存在します。軽症型の多くは片方の親からのみ遺伝子を受け継いだ(ヘテロ接合体)ですが、軽症型同士の夫婦から生まれた子どもは4分の1の確率で重症型になることがあります 。重症型は、両親から異常な遺伝子を受け継いだ「ホモ接合体」や、異なるタイプの変異遺伝子を両親から受け継いだ「複合ヘテロ接合体」で発症します 。

配信元: Medical DOC

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