「サラセミア」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

「サラセミア」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

サラセミアの前兆や初期症状について

サラセミアの症状は遺伝子の異常の重症度(軽症型〜中間型〜重症型)によって大きく異なります。軽症型(αサラセミアマイナー、βサラセミアマイナー)の場合、ほとんど無症状で、軽度の貧血がある程度です 。これと比較して重症型であれば、例えばαサラセミア(αサラセミアメジャー)の場合、重篤な子宮内溶血性貧血や胎児水腫を発症し周産期に死亡することが多いです。一方、βサラセミアの重症型(βサラセミアメジャー)の場合、生後6か月から24か月頃に、重度の貧血、黄疸、肝臓や脾臓の腫れ(肝脾腫)が現れることが一般的です 。鉄の吸収量が増加する場合があることに加え、頻繁な輸血が必要になるため、過剰な鉄が様々な臓器(肝臓や心筋など)に集まって沈着(=鉄過剰症)し、最終的には肝障害や心不全が引き起こされ、早期死亡に至る場合もあります。成長の遅れ、食欲不振、過敏症などの症状も見られます 。長期間にわたって輸血が行われない場合、骨髄の過剰な働きによって、頭蓋骨の突出、頬骨の隆起、鼻の付け根の陥没など、顔貌の特有な変化(サラセミア顔貌)が生じることがあります。足の潰瘍、胆石症、血栓症、肺高血圧症などの合併症も引き起こされる可能性があります 。

サラセミアの検査・診断

サラセミアの診断は、血液検査から始まります。貧血の有無や、赤血球が小さい(小球性)、色が薄い(低色素性)かどうかを確認します 。特徴的な所見として、赤血球の数が多くなる「赤血球増多症」を伴うことが多く、鉄欠乏性貧血と区別する重要なポイントになります 。鑑別診断には、Mentzer index(MCV÷RBC)が13以下であることや、赤血球の大きさのばらつきを示す赤血球分布幅(RDW)が正常範囲内であることが有用です 。また、ヘモグロビンA2やヘモグロビンFといったヘモグロビン分画の量や種類を測定する「ヘモグロビン分析」も行われます 。より確定的な診断のためには、αグロビン遺伝子とβグロビン遺伝子の変異を調べる「遺伝子解析」が必須です 。これにより、サラセミアのタイプや重症度を特定できます 。

配信元: Medical DOC

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