喫煙・飲酒・ウイルス以外にも、咽頭がんのリスクに関わる要因は存在します。食生活や口腔内の衛生状態、職業的な化学物質への暴露、遺伝的な体質なども、発症に影響する可能性があります。見落とされがちなリスク要因について整理してお伝えします。

監修医師:
大津 和弥(医師)
三重大学医学部卒業。三重大学附属病院で研修。市立四日市病院、三重大学附属病院などに勤務後、国立がんセンター東病院研修。三重大学附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 講師を務め、小松病院で一色信彦、田邊正博の音声外科医師の指導の下音声外科手術を研鑽。市立ひらかた病院耳鼻咽喉科部長、市立ひらかた病院耳鼻咽喉科主任部長、音声外科センター長などを歴任。大阪医科薬科大学臨床教授。現在は大津耳鼻咽喉科・ボイスクリニック 院長。
咽頭がんの初期症状——早期に気づくためのポイント
咽頭がんは、初期の段階では症状が軽く、日常的によくあるのどの不調と見分けがつきにくいことがあります。しかし、特定のサインに早めに気づくことが、早期発見・早期治療につながります。このセクションでは、初期に現れやすい症状を部位ごとに詳しく解説します。
上咽頭がん・中咽頭がんの初期症状
上咽頭がんの初期症状として、鼻づまりや鼻血が挙げられます。鼻の奥(上咽頭)にがんが発生すると、鼻の通りが悪くなる、繰り返し鼻血が出るといった症状が現れることがあります。また、耳の詰まった感じ(耳閉感)や難聴を感じる方もいます。これは上咽頭が耳管(じかん)という耳と鼻をつなぐ管に近い位置にあるためで、がんが耳管の開口部に影響することで起こると考えられています。
さらに、首のリンパ節(リンパせつ)の腫れが最初のサインとなるケースも少なくありません。痛みを伴わないしこりが首に現れたとき、のどのがんが原因である可能性があります。
中咽頭がんの初期症状としては、のどの違和感、飲み込みにくさ、のどの痛みが挙げられます。口を開けると片側の扁桃が大きくなっているように見える場合もあります。これらの症状は、扁桃炎やのど風邪と似ているため、薬を飲んでも改善しない、何週間も続くといった場合は、早めに耳鼻咽喉科の外来を受診することが大切です。
下咽頭がんの初期症状と見逃しやすいサイン
下咽頭がんは、3つの部位の中でも初期症状が出にくく、気づきにくいがんとされています。初期には「のどに何か引っかかる感じ」「飲み込むときの違和感」程度の症状にとどまることが多く、多くの方がのど風邪や逆流性食道炎と思い込んでしまうことがあります。
進行するにつれて、飲み込みの際の痛み(嚥下痛)、声のかすれ(嗄声)、痰に血が混じるといった症状が現れることがあります。また、首のリンパ節が腫れてしこりとして感じられるようになることもあります。
下咽頭がんで特に注意したいのは、症状が比較的進行してから現れやすいという点です。そのため、以下のようなサインが2週間以上続く場合は、受診の目安と考えてください。
・のどの違和感や異物感が続く
・飲み込みにくさや飲み込む際の痛みが続く
・声がかすれてなかなか戻らない
・首にしこりを感じる
・繰り返す鼻血や片側の鼻づまりが続く
これらはあくまでも参考となるサインであり、これらの症状があれば必ずしも咽頭がんというわけではありません。しかし、専門の外来で適切に評価してもらうことが、早期発見への第一歩となります。
まとめ
咽頭がんは、大人に多く見られるがんの一つですが、原因となるリスク要因を知り、初期症状に敏感になることで、早期発見につながる可能性があります。喫煙・飲酒の習慣、ウイルス感染、生活環境など、複数の要因が関与するがんだからこそ、日常生活の中での自己観察と定期的な受診が重要です。のどの違和感、首のしこり、声のかすれなど、気になる症状が2週間以上続く場合は、耳鼻咽喉科や頭頸部外科の外来への受診を検討してください。早めの行動が、より多くの選択肢と安心につながります。
参考文献
国立がん研究センター がん情報サービス「下咽頭がん」
国立がん研究センター がん情報サービス「中咽頭がん」
国立がん研究センター がん情報サービス「上咽頭がん」
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「頭頸部がんってどんな病気?」
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