
これまで数多くの映画やドラマに出演し、抜群の存在感を示してきた俳優・天海祐希。10月16日(木)夜9時からは、天海が主演を務める人気ドラマ『緊急取調室』シリーズ(テレビ朝日系)の第5シーズンが放送を開始。さらに劇場版「緊急取調室 THE FINAL」も12月26日(金)に公開が決定しており、新作ではどのような活躍を見せてくれるのか期待が高まっている。本記事では、そんな天海の俳優としての魅力をこれまでの経歴や過去作から紐解いていく。
■宝塚歌劇団出身、唯一無二の存在感を放つ天海
もともと宝塚歌劇団の男役トップスターとして活躍していた天海。“美しさ”と“かっこ良さ”を兼ね備えた実力派俳優として、彼女に憧れを抱く女性ファンも多い。
1987年に73期生として宝塚歌劇団へ入団した天海は、通常就任に10~15年ほどかかると言われているトップスターに入団わずか7年目にして就任。圧倒的な美貌とスタイル、そして作りすぎない自然な魅力で多くのファンを惹きつけた。その後惜しまれつつも宝塚歌劇団を退団した天海は、日米合作のサイコサスペンス「クリスマス黙示録」で映画デビューを果たし、第20回日本アカデミー賞にて新人俳優賞を受賞。さらに第25回日本アカデミー賞では「千年の恋 ひかる源氏物語」で優秀助演女優賞を受賞するなど数々の功績を残し、ドラマ『離婚弁護士』シリーズ(フジテレビ系)や「女王の教室」(日本テレビ系、2005年放送)で一躍注目を集めた。
やがて“視聴率女王”と呼ばれるようになった天海は、以降も『緊急取調室』シリーズや医療ドラマ「トップナイフ -天才脳外科医の条件-」(日本テレビ系、2020年放送)などのヒット作に出演。これらの作品で“かっこいい女性”を演じ、ハマり役と評された天海だが、近年では役の幅を広げさまざまな作品に出演している。
例えば映画「老後の資金がありません!」ではコメディに挑戦し、ドラマ「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」(フジテレビ系)では実写版サザエさんを演じた天海。また、映画「ミニオンズ」や「名探偵コナン 純国の悪夢」では声優にも挑戦し、唯一無二の存在感を放つ彼女は数々の作品を通してその魅力を発信し続けている。

■力強い言葉で場の空気を支配する説得力
天海の魅力は、言葉に宿る力強さで場の空気を瞬時に掌握してしまうカリスマ性にある。その一言一言が芯のある強さを帯び、聞く者の心を自然と引き寄せていく。
そんな彼女の魅力が体現されている作品として挙げられるのがドラマ「女王の教室」だ。本作で天海は小学校教師役を務め、当時25%を超える視聴率を記録した。作中では時に子どもたちを追い詰めるような鋭く厳しい言葉を投げかけているが、その裏には教育者としての信念が存在しており、言葉の一つひとつに彼女なりの「愛」と「覚悟」がにじみ出ている。
実は撮影当時、現場では緊張感を維持するために「私は笑わなかったし、椅子に座らなかったし、しゃべらなかった。私が一言何か言うと“怖い人認定”してくれていたのでシーンとなってくれる」と語っていた天海。現場でも緊張感を保ち続ける徹底した役作りによって、“冷酷な鬼教師”という強烈なキャラクター像をリアルに体現し、発する言葉に圧倒的な説得力を与えていた。
そして、映画「カイジ 人生逆転ゲーム」(2009年公開)と「カイジ ファイナルゲーム」(2020年公開)では、主人公・カイジ(藤原竜也)をギャンブルの世界へ誘う悪徳金融会社の社長・遠藤凛子役を演じた。冷静沈着で人間の欲望を見抜く非情さを持つ遠藤は、帝愛グループの傘下の立場にありながら、帝愛の残酷さにどこか疑問を抱いているような素振りも見せている。
冷徹さと人間味の狭間で揺れ動く彼女の複雑な心理の機微を、天海は緻密な演技で見事に表現。敵か味方か判然としない絶妙な表情や言動によって、作品に奥行きと緊張感をもたらしていた。


■役柄を通して伝わってくる“カッコ良さ”
さまざまなメディアや企業が発表する「理想の上司」ランキングでは、たびたび上位に名を連ねてきた天海。これまで多岐にわたるプロフェッショナルな役柄を演じ、その中で見せる“頼もしさ”や“言動の一貫性”、そして“スマートな仕事ぶり”などが彼女のイメージを形づくっているのだろう。
例えば「トップナイフ -天才脳外科医の条件-」で天海が演じたのは、脳動脈瘤のスペシャリストで脳外科の“女帝”・深山瑤子。脳は身体の部位の中でも最もデリケートで、わずか0.1mmの手元の狂いも許されない。そんな脳を扱う脳外科医集団の中でも管理職的なポジションの深山は、天才的な腕前を持ち、冷徹な性格でありながらも患者への思いやりを併せ持つ人物だ。作中における深山(天海)の発言からは、仕事に対する高いプロ意識が感じられ、実際に部下のミスに対してフォローする場面では視聴者から称賛の声が寄せられた。
また、天海が頭脳明晰な探偵役を演じた「合理的にあり得ない 探偵・上水流涼子の解明」(フジテレビ系、2023年放送)では、華麗な変装と機転で事件を解き明かす姿に、天海らしいスマートさと遊び心が同居していた。加えて、ユーモアあふれるセリフ回しやコミカルな表情からは、シリアスな役柄とは異なる軽やかさが光り、天海の演技の幅広さを印象づけている。
そして、警視庁の捜査一課に設置された緊急事案対応取調班(通称・キントリ)が被疑者の裏の顔を“マル裸”にしていくため一進一退の心理戦を繰り広げるドラマ『緊急取調室』シリーズでは、叩き上げの取調官・真壁有希子を熱演。鋭い追及と穏やかな口調を巧みに使い分けながら被疑者の心を開かせていく姿は、まさにプロフェッショナル。会話のテンポや声の抑揚、間(ま)の取り方に至るまで、緻密に計算された天海の演技は圧巻だ。
どのような役柄であっても、その人物にふさわしい話し方や表情、佇まいを自然に表現できる天海。どのキャラクターにも共通して“カッコ良さ”が漂うのは、天海自身の人間性はもちろん、宝塚時代に培った経験も活かされているのかもしれない。
なお動画配信サービス・Huluでは、天海が出演する「女王の教室」「カイジ 人生逆転ゲーム」「カイジ ファイナルゲーム」「トップナイフ -天才脳外科医の条件-」「合理的にあり得ない 探偵・上水流涼子の解明」『緊急取調室』シリーズなどの作品を見放題配信中。


