「飲み込むときの違和感」は危険?見逃すと怖い咽頭がんの“あの初期症状”とは

「飲み込むときの違和感」は危険?見逃すと怖い咽頭がんの“あの初期症状”とは

咽頭がんは初期段階では症状が軽く、のど風邪と区別しにくいことがあります。どの診療科を受診すればよいのか、どのような検査が行われるのか、また予防の観点から日頃できることについて、受診の流れとあわせてご紹介します。

大津 和弥

監修医師:
大津 和弥(医師)

三重大学医学部卒業。三重大学附属病院で研修。市立四日市病院、三重大学附属病院などに勤務後、国立がんセンター東病院研修。三重大学附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 講師を務め、小松病院で一色信彦、田邊正博の音声外科医師の指導の下音声外科手術を研鑽。市立ひらかた病院耳鼻咽喉科部長、市立ひらかた病院耳鼻咽喉科主任部長、音声外科センター長などを歴任。大阪医科薬科大学臨床教授。現在は大津耳鼻咽喉科・ボイスクリニック 院長。

咽頭がんの初期症状を見逃さないために——受診と検査のポイント

初期症状に気づいた方が次に取るべき行動は何でしょうか。このセクションでは、どのような検査が行われるのか、そしてどのタイミングで受診すべきかについて、具体的に解説します。

どの診療科を受診すべきか、どんな検査が行われるか

のどや首に気になる症状がある場合、まず受診を検討したい診療科は耳鼻咽喉科または頭頸部外科の外来です。これらの診療科では、のどの内部を直接観察するための内視鏡(ファイバースコープ)を用いた検査が行われます。この検査では鼻から細い管を挿入して、上咽頭・中咽頭・下咽頭を詳しく観察することができます。痛みは少なく、多くの方が外来で受けられる検査です。

内視鏡検査では、粘膜の色調変化や腫瘍の有無だけでなく、声帯の動きや咽頭周囲の状態も確認できます。近年は画像技術の進歩により、通常の観察では見つけにくい早期の病変を発見しやすくなっています。初期の咽頭がんは自覚症状が乏しいことも多いため、症状が軽いうちの受診が早期発見につながる可能性があります。

異常が見つかった場合は、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検(せいけん)が行われます。生検によってがん細胞の有無や種類を確認します。さらに、がんの広がりを調べるためにCT検査やMRI検査、PET検査などの画像診断が行われることもあります。これらの検査によって、がんのステージ(進行度)が判定されます。

また、首のしこりが主な症状の場合には、超音波検査(エコー検査)が行われることもあります。リンパ節の腫れが炎症によるものなのか、がんの転移によるものなのかを評価するために重要な検査です。必要に応じて細胞診や追加の画像検査が行われる場合もあります。

受診の目安としては、「風邪ではないのに声のかすれが続く」「飲み込むときに違和感がある」「のどの痛みが数週間以上改善しない」「首のしこりがなかなか引かない」といった症状が挙げられます。こうした症状が2〜3週間以上続く場合には、一度専門医に相談することが勧められます。

早期のステージで発見できれば、治療の選択肢も広がり、身体への負担を抑えた治療が可能になる場合があります。「なんとなく気になる」という段階で受診することをためらわず、専門の外来への相談を検討してください。

定期的なスクリーニングと予防の視点

咽頭がんに対して現在、一般的な健診として広く普及しているスクリーニング検査があるわけではありません。しかし、喫煙・飲酒の習慣がある方、HPV感染のリスクがある方、上咽頭がんの家族歴がある方などは、定期的に耳鼻咽喉科の外来でのどの状態を診てもらうことが一つの対策として考えられます。

特に長年の喫煙歴や飲酒習慣がある方は、自覚症状がなくても定期的なチェックを受けることで、異常を早い段階で見つけられる可能性があります。頭頸部がんは早期発見によって治療成績が大きく変わることが知られており、リスクの高い方ほど予防的な受診の意義は大きいといえるでしょう。

予防の観点からは、禁煙・節酒が引き続き重要です。また、HPVに対するワクチン接種は子宮頸がん予防として知られていますが、咽頭がん(特に中咽頭がん)の予防にも関連するという見解があります。HPVワクチンの詳細については、かかりつけ医や内科の外来に相談することをおすすめします。

さらに、十分な睡眠や適度な運動、栄養バランスの取れた食事など、免疫機能を維持するための生活習慣も健康管理の一環として大切です。野菜や果物を適切に摂取することは、頭頸部がんのリスク低下との関連が示唆されている研究もあります。

口腔内を清潔に保つこと、定期的に歯科受診を行うことも、咽頭を含む頭頸部全体の健康を維持するうえで意義があります。近年では、慢性的な口腔内の炎症と全身の健康との関連も注目されており、歯周病予防に取り組むことも健康管理の一助になると考えられています。

「のどの不調が続いている」「以前より声がかすれるようになった」「飲み込みづらさが気になる」といった症状がある方は、年齢のせいや疲れのせいと決めつけず、一度専門医の診察を受けることが大切です。早めの受診が、将来の健康を守るきっかけになるかもしれません。

まとめ

咽頭がんは、大人に多く見られるがんの一つですが、原因となるリスク要因を知り、初期症状に敏感になることで、早期発見につながる可能性があります。喫煙・飲酒の習慣、ウイルス感染、生活環境など、複数の要因が関与するがんだからこそ、日常生活の中での自己観察と定期的な受診が重要です。のどの違和感、首のしこり、声のかすれなど、気になる症状が2週間以上続く場合は、耳鼻咽喉科や頭頸部外科の外来への受診を検討してください。早めの行動が、より多くの選択肢と安心につながります。

参考文献

国立がん研究センター がん情報サービス「下咽頭がん」

国立がん研究センター がん情報サービス「中咽頭がん」

国立がん研究センター がん情報サービス「上咽頭がん」

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「頭頸部がんってどんな病気?」

配信元: Medical DOC

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