脳疲労が積み重なると、記憶力や集中力にも変化が現れることがあります。深い睡眠の段階では、その日に学んだ情報の整理や記憶の定着が行われると考えられています。スヌーズで睡眠が繰り返し中断されると、この重要なプロセスが妨げられ、判断力の低下やイライラしやすくなるといった変化につながる可能性があります。こうした変化は徐々に進行するため、気づきにくい場合も少なくありません。

監修医師:
後平 泰信(医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院)
2009年に旭川医科大学医学部を卒業。循環器内科のスペシャリストとして、長年、札幌東徳洲会病院を中心に救急医療や心疾患の治療に従事。2023年には睡眠・無呼吸・遠隔医療センター長を歴任し、最新技術を用いた診療体制の構築に尽力。2024年より病院長に就任し、2025年10月の「札幌もいわ徳洲会病院」への名称変更。日本循環器学会 認定循環器専門医。日本睡眠学会 総合専門医・指導医。日本スポーツ協会公認 スポーツドクター。日本内科学会 認定内科医。
スヌーズ機能が自律神経に与える長期的なリスク
このセクションでは、スヌーズ機能を長期的に使い続けることで、自律神経バランスが慢性的に崩れた場合にどのような健康リスクが生じるかについて説明します。一時的な乱れが積み重なることで、身体全体へ影響が及ぶことがあります。
慢性的な自律神経の乱れが引き起こす身体症状
自律神経の乱れが慢性化すると、さまざまな身体症状が現れることがあります。代表的なものとして、倦怠感・頭痛・肩こり・動悸・手足の冷えなどが挙げられます。これらは、自律神経が適切に身体の各器官をコントロールできなくなることで生じると考えられています。
消化器系への影響も見られることがあります。自律神経は胃腸の動きを調整しているため、バランスが崩れると食欲不振・胃もたれ・便秘・下痢といった症状が起きやすくなります。これらは検査をしても異常がないのに、胃もたれや胃痛などの不調が続く状態「機能性消化管障害」と呼ばれる状態に関連することもあります。
また、免疫機能にも影響を与えることがあります。自律神経と免疫系は密接に関わっており、自律神経の乱れが続くと免疫のバランスが崩れ、風邪をひきやすくなったり、アレルギー症状が出やすくなったりすることがあるとされています。日常的な体調の悪さが続いている場合、生活習慣の見直しとあわせて医療機関への相談も選択肢の一つです。
精神的な健康への波及
自律神経の慢性的な乱れは、精神的な健康にも波及することがあります。自律神経と脳の働きは互いに影響し合っており、自律神経が乱れた状態が続くと、気分の落ち込みや不安感、イライラしやすさが増すことがあります。
睡眠の質が長期にわたって低下している場合、気分障害や不安障害と関連することがあると報告されています。スヌーズ機能の使用が直接これらの疾患を引き起こすわけではありませんが、睡眠の質を低下させる習慣として自律神経の乱れに寄与し、間接的にリスクを高める可能性は考えられます。
また、慢性的な疲労感やだるさは、日常生活の活動量の低下につながることがあります。活動量が減ると身体を動かす機会も減り、夜の寝つきがさらに悪くなるという悪循環が続くことがあります。心身の健康を維持するうえで、朝の目覚め方を見直すことは、思いのほか重要な意味を持っています。
まとめ
毎朝当たり前のように使っているスヌーズ機能が、脳の疲労や自律神経の乱れを招いている可能性があることをご理解いただけたでしょうか。スヌーズ習慣をやめることは、最初は難しく感じるかもしれませんが、就寝・起床時間の統一や朝の光を浴びるといった小さな工夫から始めることで、着実に改善につながります。睡眠の質を高め、自律神経を整えることは、日々の体調や心の健康にも深く関わっています。気になる症状がある場合は、ぜひ医療機関へご相談ください。
参考文献
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」- 「眠れない」人は要注意。重度不眠症は“あの病気”になるリスクが高い?
──────────── - 寝ても疲れが取れないのはなぜ? 『睡眠の質』を高める方法【医師解説】
──────────── - 「眠れない」不眠の悩み、相談しやすく――6月から「睡眠障害内科」など標榜可能に
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