腸内には数百種類もの細菌が存在しており、そのバランスが乱れると免疫機能や代謝にも影響が及ぶ可能性があるとされています。加工肉を多く食べる食生活は、腸内細菌のバランスに影響を与える可能性があります。腸内環境を良好に保つためには、加工肉の摂取を適度に抑えながら、発酵食品や食物繊維を意識して取り入れることが大切です。ここでは腸内環境と食生活の関係について解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
加工肉(ハム・ソーセージ)に含まれる添加物の種類と役割
加工肉には、保存や色づけ、風味の維持などを目的としたさまざまな食品添加物が使用されています。「添加物=危険」というイメージを持つ方もいますが、すべての添加物が有害というわけではありません。このセクションでは、加工肉に使われる主な添加物の種類と役割について解説します。
亜硝酸ナトリウム(発色剤)の役割と問題点
加工肉に使われる添加物のなかで、もっとも議論になることが多いのが『亜硝酸ナトリウム』です。亜硝酸ナトリウムは発色剤として使用され、ハムやソーセージの鮮やかなピンク色・赤色を保つ役割を担っています。
亜硝酸ナトリウムには、発色以外にも重要な役割があります。ボツリヌス菌(食中毒の原因となる細菌)の増殖を抑える抗菌作用があり、食品の安全性を保つうえで欠かせない添加物とされています。腐敗防止や保存性の向上にも寄与しており、食品安全の観点から一定の量の使用が認められています。
一方で、亜硝酸ナトリウムは肉に含まれるアミン類と反応して、前述のニトロソアミンを生成する可能性があります。日本では食品衛生法に基づき、加工肉に使用できる亜硝酸ナトリウムの残存量は厳しく規制されています。食べる量が少なければ直ちに健康被害につながるわけではありませんが、大量・長期にわたる摂取には注意が必要です。
リン酸塩・増粘安定剤など、そのほかの添加物について
亜硝酸ナトリウム以外にも、加工肉にはさまざまな添加物が使用されています。
『リン酸塩』は、食肉の保水力を高め、食感をよくする目的で使用されます。リン酸塩を過剰に摂取すると、腸でのカルシウムの吸収を妨げる可能性があるとされています。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のリスクが気になる方は、加工食品の摂り過ぎに注意が必要です。
『増粘安定剤(カラギナン、グァーガムなど)』は、食感や形状を安定させるために使用されます。通常の食事量で摂る分には問題ないとされていますが、腸への影響を心配する声もあります。
『調味料(アミノ酸等)』は、うま味を補うために使用されます。主にグルタミン酸ナトリウムが含まれることが多く、一般的な使用量であれば健康への影響は少ないとされています。
また、発酵や変色を防ぐために使われる『酸化防止剤(ビタミンCやビタミンEなど)』は、むしろ抗酸化作用があるため、健康上の懸念は少ないとされています。添加物への不安がある方は、食品表示ラベルで原材料名を確認し、使用されている添加物の種類を把握することが大切です。
まとめ
加工肉(ハム・ソーセージ)には発がん性リスクと関連する物質が含まれており、IARCによってグループ1に分類されていることは事実です。しかし、少量を時々食べる程度であれば過度に心配する必要はなく、大切なのは「食べ過ぎないこと」と「食べ方を工夫すること」です。添加物については、食品表示ラベルを活用して選ぶことで、摂取量を抑えることができます。また、身体にはもともと解毒の仕組みが備わっており、食事・運動・睡眠といった日常の生活習慣を整えることでサポートすることが可能です。加工肉に関して血便や便潜血陽性、排便習慣の変化、原因不明の体重減少、貧血などの症状がある方や、40歳以上で大腸がん検診を一度も受けたことがない、家族に大腸がんの既住がある方は消化器内科などの医療機関に相談されることをおすすめします。
参考文献
消費者庁「食品表示基準について」
国立がん研究センター「赤肉・加工肉のがんリスクについて」
国立がん研究センター「最新がん統計」
- 『大腸ポリープ』ができやすい人の特徴 「がん」のリスクや治療の流れも医師が解説
──────────── - 便潜血検査は「陰性」なのに見つかった『大腸がん』… 医師が語る“見逃し”の現実
──────────── - 「大腸がん」と「遺伝」の関係をご存じですか? 家族に大腸がん罹患者がいる場合に注意すべきこととは
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