「目を開けているのに、意識がない」遷延性意識障害とはどんな状態か医師が解説

「目を開けているのに、意識がない」遷延性意識障害とはどんな状態か医師が解説

遷延性意識障害の前兆や初期症状について

遷延性意識障害は通常、急性の脳損傷に続く意識障害が長引くことで明らかになります。経過として典型的なのは、昏睡状態から始まり、数日〜数週間で目が開くが反応が乏しい状態へと移行します。意識の回復がないまま植物状態または最小意識状態に移行します。具体的には、呼びかけに反応しない、痛みにも反応が薄い、意図のある運動がない、目を開けていても視線が合わない、自発的な発語がない、このような症状が1か月以上続くと「遷延性意識障害」として扱われます。

遷延性意識障害の検査・診断

意識レベルはGCS(Glasgow Coma Scale)やJCS(Japan Coma Scale)で評価します。目の開閉、痛みに対する反応、声かけへの反応を丁寧に観察します。脳波検査は非痙攣性てんかん重積状態の除外に重要です。低振幅または持続徐波は予後不良を示します。頭部画像(CT / MRI)は 脳の構造的損傷、出血、梗塞、水頭症、脳浮腫、硬膜下血腫などを確認できます。代謝・ホルモン・感染症スクリーニングとして血清ナトリウム、カルシウム、Ca、血糖、ビタミンB1、アンモニアなどを検査します。必要に応じて髄液検査も行います。SSEP(体性感覚誘発電位) で両側性消失は予後不良の強い予測因子とされます。PET/SPECT検査では脳代謝や血流の評価に用いることがあります。上記の検査を用いて、治療不可能な遷延性意識障害なのか、治療の余地がある遷延性意識障害なのか鑑別を行います。

配信元: Medical DOC

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