レジェンド漫画家・伊藤潤二が明かす“ホラー漫画の核” 野田クリスタルとの意外な共通点も発覚<漫画クリスタル>

レジェンド漫画家・伊藤潤二が明かす“ホラー漫画の核” 野田クリスタルとの意外な共通点も発覚<漫画クリスタル>

「漫画クリスタル」より
「漫画クリスタル」より / (C)BSテレ東

「自他ともに認めるマンガ好き」な野田クリスタルが、ひたすら漫画に対する「熱」と「愛」をぶつけあう漫画専門番組「漫画クリスタル」(BSテレ東)。その第3弾「【ホラー漫画の巨匠】伊藤潤二先生登場!恐怖の源は…?秘話続々」が7月23日(木)夜10時から放送される。ホラー漫画界の巨匠・伊藤潤二と野田の意外な共通点、恐怖を際立たせるエッセンスと創作のひらめきまで深く掘り下げていく。

■違和感と“美”のエッセンスが生む恐怖感

漫画好きが集うバーのマスターである野田、そして常連客であるダウ90000・蓮見翔が「今日すげえ人来てる」とワクワクしながら迎えたのが伊藤。デビュー作にして代表作でもある「富江」シリーズほか、200作以上のホラー漫画を世に送り出してきたレジェンド漫画家だ。これまで「漫画界のアカデミー賞」と言われる「アイズナー賞」を4度も受賞し、手塚治虫や宮崎駿と同じく“殿堂入り”を果たしている。

野田がまず切り込んだのは、伊藤作品の共通点でもある「気持ち悪さ」。これはスプラッター的なグロ描写ではなく、人体への深い洞察とデッサン力から繰り出される“意図的な違和感”を指しているようだ。「存在しない状態」をどのように思い付き、描くに至ったのか。野田が伊藤のなかにある“ホラー描写へのこだわり”を尋ねたところ、「美的なモノを見つけられるような描き方をするっていうのは気を付けてきた」と意外な答えが返ってきた。

というのも伊藤がデビューしたころは、ちょうどスプラッター描写のブームが下火になってきたタイミングだったという。そこで伊藤は基本的な人体の構造を頭に入れるべく、ポーズ写真集などでデッサンの勉強に努めたと話す。そのデッサン力が、漫画に“美”のエッセンスを取り込んでいるのだろう。

野田や蓮見も「ポーズじゃ説明がつかない…」「それに載ってないものだらけじゃないですか」とツッコむのだが、あくまで伊藤は「それ(資料)以外のものは逆に自由なんで」と“人体の構図”は発想のタネでしかないと明かす。

伊藤は漫画を描く際、「こんなことがあったら嫌だな」という日常の小さな“違和感”がネタの入口になるという。いわゆる「怖いシーン」「怖いキャラクター」から始まるのではなく、日常に潜む違和感を大きく膨らませた先にある恐怖。普段ネタを書く側である蓮見も、なるほどとうなずくばかりだった。

■野田と伊藤の共通点

野田が「先生はなにを一番怖いと思ってるんですか?」と切り込んだところ、伊藤は「原因がわからない」ことこそ恐怖の源だとこぼす。犯人も動機もわからない事件が起きると、人は“余計な想像”を働かせて必要以上の恐怖を感じてしまうからだ。

これに共感した野田は、「先生の作品って、解決せずに終わるじゃないですか」「解決しないし理由もわからない…でも、ゆえに妄想しちゃうんですよね」と伊藤作品の特徴に思い当たる。なぜ始まったのかわからない“原因のない恐怖”が、なにか希望を残すわけでもなくふっと終わってしまう。本人は「ページが足らなくなっちゃって」と笑っていたが、ある意味で奇跡的な折り合いが生んだ作風とでも言うべきだろうか。

その話を聞いた野田がふと浮かんだのは、「富江」シリーズのオムニバス的作風。尋ねたところ、たしかに伊藤は長編として同じ話を描くのが得意ではないという。すると野田は「私ゲーム作っているんですけど…」と語り出し、長編RPGの製作が苦手だと告白。ミニゲームをいくつも考えるのは好きだが、敵と戦ってはまた新たな敵と出会い…というスタイルに飽きてしまうのだという。

「それはちょっとわかります。“長編の飽き”っていうのは」と笑う野田が話すエピソードに、伊藤も共感の笑顔を浮かべるのだった。

番組ではさらに楳図かずおへの憧れや“ホラー漫画以外”の作品を執筆する可能性、野田とのもう1つの共通点である“癖”の話も。また「僕が見たかった青空」塩釜菜那とLINEマンガ編集部の小林万純を招いた「ネクストブレイク座談会」を実施。漫画好きもうなる濃い話が様々な飛び出す「漫画クリスタル」は、7月23日(木)夜10時から放送となる。

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