「ぎっくり腰」の“原因”は「あの動作」?再発を防ぐ生活習慣【医師監修】

「ぎっくり腰」の“原因”は「あの動作」?再発を防ぐ生活習慣【医師監修】

ぎっくり腰は再発しやすい疾患のひとつです。発症直後の適切な対応はもちろん、回復後の生活習慣の見直しも大切になります。物を拾うときの動作を変える、体幹の筋力を高めるといった取り組みが、再発リスクを下げる可能性があります。焦らず着実に取り組める、具体的なアプローチをご紹介します。

松繁 治

監修医師:
松繁 治(医師)

経歴
岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科
主な研究内容・論文
ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績
著書
保有免許・資格
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医

膝を伸ばしたまま物を拾うときに避けるべき姿勢と動作

このセクションでは、腰に深刻なダメージを与えやすい「絶対NGな姿勢」について具体的に解説します。何がいけないのかを明確に理解することで、日常の動作を意識的に変えていくことが可能になります。

特にリスクが高い4つのNG動作

腰のトラブルを招く姿勢や動作には、いくつかの共通したパターンがあります。以下に代表的なNG動作を挙げます。

①膝を完全に伸ばしたまま前かがみになる
腰への負担が大きくなりやすい代表的な動作の一つです。膝を伸ばした状態では骨盤が後傾しやすく、腰椎の自然なカーブ(前弯)が減少します。その結果、腰椎や椎間板への負荷が増加し、腰痛やぎっくり腰のリスクに関与する可能性があります。

②上体を前に倒しながら同時に回旋(ひねり)を加える
前かがみと体のひねりが同時に起こると、椎間板にかかる剪断力(ずれる力)が増大します。例えば、体をひねった状態で床の物を拾う動作などは、腰への負担が大きくなりやすいため注意が必要です。

③勢いをつけて素早く前かがみになる
急激な動作では、腰周囲の筋肉が収縮の準備を整える前に負荷が加わります。ゆっくりとした動作と比べて、筋肉や靱帯への衝撃が大きくなるため、急な前かがみは避けることが大切です。

④重い物を持ったまま体を伸ばす(持ち上げる)際に腰から動かす
物を持ち上げるとき、膝ではなく腰を使って起き上がろうとする動作も腰に大きな負担をかけます。持ち上げる力は、太ももや臀部の大きな筋肉を活用することで腰への集中を避けられます。

NG姿勢が積み重なると何が起きるか

1回や2回のNG姿勢で即座に重大な障害が起きるとは限りませんが、繰り返しの積み重ねが腰の組織を少しずつ痛めていきます。椎間板は血管が乏しく、一度損傷すると回復に時間がかかります。また、20代後半から徐々に水分量が低下して弾力性が失われていくため、年齢を重ねるほどNG動作のリスクが高まる傾向があります。

さらに、腰痛が繰り返されると「また痛くなるのでは」という心理的な不安が生じ、日常の活動が制限されることもあります。これにより運動不足が進み、筋力がさらに低下するという悪循環に陥るケースも見受けられます。NG姿勢を日常的に避けることは、身体だけでなく、生活の質を守るうえでも重要な意味を持ちます。

まとめ

膝を伸ばしたまま物を拾う動作は、腰椎や椎間板への負担を増加させ、腰痛やぎっくり腰のリスクに関与する可能性があります。腰椎や椎間板への負荷の増加、筋肉や靱帯へのストレス、前屈みとひねりの組み合わせなどが重なることで、腰への負担が蓄積しやすくなります。腰への負担が少ない動作を習慣化するとともに、体幹や股関節周囲の筋力・柔軟性を維持し、日常的なセルフケアを心がけることが、腰の健康を守るうえで大切です。腰に痛みやしびれを感じている方は、早めに整形外科などへの相談をおすすめします。

参考文献

日本医療機能評価機構「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」

厚生労働省「腰痛予防対策」

日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」

日本整形外科学会「腰痛」

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。