“糖尿病”は「隠れ脳梗塞」の原因?発見後に必要な“3つの検査”【医師監修】

“糖尿病”は「隠れ脳梗塞」の原因?発見後に必要な“3つの検査”【医師監修】

無症候性脳梗塞は、特定のリスク要因を持つ方に多く見られる傾向があります。高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病との深い関わりをはじめ、年齢・性別・喫煙習慣・肥満なども関係しています。自分がどのようなリスクを抱えているかを把握することが、予防への大切な一歩となります。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)を発見するための検査と診断

無症候性脳梗塞は、自覚症状がほとんどないまま進行するため、本人が異常に気づくことは容易ではありません。そのため、発見のきっかけとなるのは脳ドック、あるいは別の病気の検査で偶然見つかるケースが多くなっています。しかし、症状がないからといって放置してよいわけではありません。無症候性脳梗塞は、将来的な脳梗塞や認知機能低下のリスクを示す重要なサインと考えられており、早期発見と適切な管理が重要です。このセクションでは、どのような検査によって無症候性脳梗塞が見つかるのか、また診断後にどのような対応が必要になるのかについて詳しく解説します。

MRI検査が発見の鍵となる

無症候性脳梗塞を発見するうえで、最も重要な役割を果たすのがMRI(磁気共鳴画像)検査です。MRIは強力な磁場と電波を利用して体内の状態を画像化する検査であり、脳の微細な変化を高い精度で捉えることができます。放射線被ばくがない点も特徴で、脳の状態を詳しく評価する検査として広く活用されています。

脳梗塞というと、大きな血管が詰まって起こる重篤な病気をイメージする方が多いかもしれません。しかし、無症候性脳梗塞の多くは数ミリ程度の小さな梗塞であり、日常生活に大きな支障を与えないため、自覚症状が現れないことがあります。このような小さな病変はCT(コンピュータ断層撮影)では見つけにくいこともありますが、MRIであれば比較的明瞭に確認できます。

特にFLAIR画像と呼ばれる撮影法では、脳内の微細な梗塞や白質病変を詳細に評価できます。検査によって「ラクナ梗塞」や「白質高信号域」と呼ばれる所見が見つかることがあり、これらは脳の細い血管に生じた障害を示唆する重要なサインです。

また、MRIとあわせて行われることが多いMRA(磁気共鳴血管撮影)は、脳血管の状態を画像化する検査です。血管の狭窄や閉塞、動脈瘤の有無などを確認できるため、脳梗塞の原因となる血管病変の評価にも役立ちます。単に脳梗塞の痕跡を探すだけでなく、「なぜその病変が生じたのか」を調べるうえでも重要な検査といえるでしょう。

近年では、人間ドックのオプションとして脳ドックを受診する方も増えています。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある方、喫煙習慣がある方、脳卒中の家族歴がある方は、症状がなくても脳ドックの受診を検討する価値があります。実際に、脳ドックをきっかけに無症候性脳梗塞が発見され、その後の生活習慣改善によって脳卒中リスクを低減できるケースも少なくありません。

ただし、MRIで見つかった所見がすべて病的な意味を持つわけではありません。加齢によって生じる変化との区別が必要な場合もあるため、画像だけで自己判断せず、専門医による総合的な評価を受けることが大切です。

発見後に必要な検査と医師への相談

MRIで無症候性脳梗塞が見つかった場合、その病変の有無を確認して終わりではありません。むしろ重要なのは、「なぜ脳梗塞が起きたのか」「今後さらに脳梗塞を起こすリスクがどの程度あるのか」を評価することです。そのため、診断後には追加の検査が行われることがあります。

代表的な検査の一つが頸動脈超音波検査(頸動脈エコー)です。頸動脈は脳へ血液を送る重要な血管であり、この血管に動脈硬化が進行すると脳梗塞のリスクが高まります。超音波を使って血管の壁の厚さやプラーク(脂質の沈着)の有無を確認することで、全身の動脈硬化の進行度を評価できます。

また、心臓が原因となる脳梗塞の可能性を調べるために、心電図検査やホルター心電図検査が行われることもあります。特に注意が必要なのが「心房細動」です。心房細動では心房が規則正しく収縮できなくなり、心臓の中に血栓ができやすくなります。この血栓が脳へ流れることで脳梗塞を引き起こすため、早期発見と適切な治療が重要です。

さらに、血液検査では血糖値やHbA1c、中性脂肪、LDLコレステロールなどを確認し、糖尿病や脂質異常症の有無を評価します。これらは脳梗塞の代表的な危険因子であり、数値の管理が将来の発症予防につながります。場合によっては腎機能や凝固機能の検査などが追加されることもあります。

検査結果を総合的に判断したうえで、医師は今後の管理方針を提案します。多くの場合は、まず生活習慣の見直しが重要になります。塩分や脂質を控えた食事、適度な運動、禁煙、節酒、適正体重の維持などが基本となります。高血圧や糖尿病、脂質異常症がある場合には、それぞれに対する治療を適切に継続することが大切です。

また、患者さんによっては抗血小板薬や抗凝固薬などの薬物療法が検討されることもあります。ただし、無症候性脳梗塞のすべての方に薬が必要になるわけではなく、病変の状態やリスク因子を踏まえて個別に判断されます。

無症候性脳梗塞は症状がないため、「今は困っていないから大丈夫」と考えてしまう方も少なくありません。しかし、これは将来の脳梗塞や認知症リスクを知らせる警告サインともいえます。診断を受けた際は不安になりすぎる必要はありませんが、医師と相談しながら適切な管理を続けることが、健康な生活を長く維持するための重要なポイントになります。

まとめ

無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)は、自覚症状がないからこそ見落とされやすく、放置すると脳梗塞や認知症のリスクが高まる状態です。前兆となりうる微細なサインを見逃さず、なりやすい方の特徴を知ったうえでリスクを把握し、生活習慣の改善と医療機関での定期的な管理を続けることが重要です。まずは定期的な健康診断や脳ドックの受診から始め、気になる症状がある場合は神経内科や内科などに相談することをおすすめします。

参考文献

日本生活習慣病予防協会「脳梗塞」

厚生労働省「脳梗塞・くも膜下出血・心筋梗塞・不整脈など」

配信元: Medical DOC

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