「偽性副甲状腺機能低下症」を発症した人に起こる症状をご存じですか?【医師監修】

「偽性副甲状腺機能低下症」を発症した人に起こる症状をご存じですか?【医師監修】

偽性副甲状腺機能低下症の治療

治療の目標は、血液中のカルシウム不足を改善し、テタニーやけいれんなどの症状を防ぐことです。

主な治療法は、活性型ビタミンD製剤を服用することです。これは腎臓でカルシウムを吸収しやすくする働きがあります。注意が必要なのは、食品やサプリメントに含まれる通常のビタミンDとは構造が少し異なる点です。食品やサプリメントでは治療効果は期待できません。また、子どもの場合はカルシウムの値が変動しやすいため、必要に応じてカルシウム製剤も使います。治療を続けるにあたっては、定期的に血液検査や尿検査を行い、血中カルシウムの値を確認しながら薬の量を調整することが欠かせません。

なお、治療のしすぎでカルシウムが多くなりすぎると、腎機能の低下や尿路結石を引き起こす可能性があります。しかし、偽性副甲状腺機能低下症では副甲状腺機能低下症よりもそのリスクは少ないとされています。

適切な治療が行われれば、テタニーやけいれんなどの症状は十分に抑えることができます。

偽性副甲状腺機能低下症になりやすい人・予防の方法

日本では2025年時点で、およそ1500人の患者さんがいると推定されています。男女で発症のしやすさに差はありません。そして、偽性副甲状腺機能低下症I型は遺伝による発症があるため、家族に同じ病気の人がいる場合はリスクが高くなります。ただし、突然変異で発症する場合もあり、必ずしも家族歴があるわけではありません。

現在、偽性副甲状腺機能低下症を予防する方法はまだわかっていません。現時点では、早期に診断して治療を始めることが大切です。



参考文献

南学正臣 et al.「内科学書 5 改訂第9版」(中山書店、2019年)118-121ページ

難病情報センター「偽性副甲状腺機能低下症(指定難病236)」(最終閲覧日2025年9月6日)

配信元: Medical DOC

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