【第2話】吾輩は猫ですか? ~ミックス犬のメロ~



(C)皐月コハル・さかぐちまや/スターツ出版 無断転載禁止
――大学時代の友人の飼い主トモ子は保護猫の活動をしている。猫たちが暮らす家に、犬が加わることになって――ちょっと変わった温かい家族の形。
*
もともと、私は犬を飼うつもりは毛頭なかった。
だって、うちには猫が二匹いる。それで十分だし、むしろ、いっぱいいっぱいだ。
なのに、元夫が言い出した。
「犬がほしい」
いやいやいや「無理でしょ」って、即答だった。
ところが、なぜか子どもたちが大盛り上がりしてしまい、「見るだけ」と言いながら、気づけば全員でペットショップに行く流れになっていた。
そして出会ってしまったのが、メロだった。
「いや、でも猫居るし……」「いやでも……」と悩み続け、最終的に――。
「猫と共存やってみるか」となった。
結果、拍子抜けするくらい普通に共存した。猫も「へぇ、犬ね」くらいの反応で、メロも「なんかいるな」くらいで、思ったよりあっさり馴染んでしまった。
だが、問題はここからだった。私には、ちょっとした(いや、だいぶおかしい)特性がある。――猫を拾ってきてしまう病気なのだ。
そしてまたある日、子猫を拾ってきた。
「……あれ? また増えた? 次から次へと大きいのやら、子猫やらが来るぞ」
と、当然メロは困惑。しかも私は、その子猫にミルクをあげたり、つきっきりで世話をする。 そりゃあ、メロも思う。「え? 何? その対応の差は?」と。
そしてある日――事件が起きた。
メロの嫉妬が爆発し、子猫に怪我をさせてしまったのだ。
子猫を軽く「カプッ」くらいのノリだったのだと思う。でも思いのほか惨事となり、メロもびっくり。
「え!? こんな大事になるの!? ごめん!!」って顔してた。
でもこれは、メロが悪いわけじゃない。だってわからなかったのだ。
「なんだこの生き物は。モニュモニュ動いてるし、ちょっと触ってみるか?」くらいの認識だったはず。どうやって扱ったらいいのかわからなかったんだと思う。
メロは学んだ。「これはダメなことなんだ」と。
その証拠に、それ以降は一切手を出さなくなった。むしろ――強くなった。
次に猫を連れて帰ってきた時のメロ。「はいはい、新しいの来ましたね」ってな調子で、すっかりその環境に慣れていた。新しい猫たちが少し距離を取ろうとしている横で、メロはずんずん近づいていって「はい、いらっしゃい」ってクンクン匂い嗅いで、自分から挨拶するくらい。私のことは「コイツはなんでも拾ってくる女なんだ」と認識したようだった。
そのうち、新入り猫たちが環境に慣れやすくなるように、メロが猫に「シャーってしないよ」って教えたり、受け入れ係みたいなことまでやってくれて。
ここで私は気づいた。――この子、自分のこと猫だと思ってないか?
だって、猫と一緒に日向ぼっこして、猫と一緒に布団で寝て、猫みたいに毛づくろいをしている。もう完全に同化している。犬の姿をした猫。そして相変わらず私は猫を拾い続ける。
もう通算百匹以上。素手で捕まえる女。もはや肩書きが「保護猫の達人」になりつつある。
さらに、状況は加速する。預かりの犬が来て、気づけばペットホテルのようになり、ある時はウサギまでやってきた。それでもメロは動じなかった。平気で受け入れてしまう。
「メロ、ウサギもいけるんだ」って思わず笑ってしまった。
誰かが帰宅すると、メロも猫たちも、預かりの犬も、みんな揃って玄関まで迎えに来てくれる。誰一匹欠けることなく、全員で一緒に並んで待っていてくれる。
昼寝をすれば、猫が一匹、また一匹、メロもいて、さらに別の子もどんどんくっついてきて、温かい。
家の中は、もはや動物園みたいになっているけれど。本当に「共存」そのもの。
みんな違う生き物なのに、家族だって思えるから。


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