かばのきさんは、娘のこつぶちゃんを育てながら不妊治療で人工授精の末、待望の第2子を授かりました。しかし、妊婦健診で医師から、染色体異常のリスクがあることを告げられます。
初期胎児ドックという検査の結果、『13トリソミー』あるいは『21トリソミー』の可能性を指摘され、より正確な診断が可能な絨毛検査(じゅうもうけんさ)を強く勧められますがその検査の前に、おなかの赤ちゃんの心拍が停止していることが判明。
かばのきさんは安堵と悲しみの狭間で揺れながらも、6日後に分娩処置のために入院することになりました。
ついに、迎えた入院生活。
かばのきさんは想像を絶する痛みに苦しみながら、ラミナリアを使用した前処置を受けます。ひたすら痛みに耐えるしかない状況のなかで、かばのきさんはふと「なんのための痛みなのか」と疑問に思い、感傷的な涙があふれます。
※初期胎児ドック…胎児に染色体異常の可能性やその他の身体的疾患がないか調べるためのより精密な超音波検査。
※絨毛検査…胎盤の一部である絨毛を採取して、胎児の染色体や遺伝子の状態を調べる検査。
※ラミナリア…子宮頚管を広げる処置に使われる、海藻の茎根を原材料とした硬い棒状の医療器具。
※不妊治療、死産についての表現があります。苦手な方は閲覧をお控えください。また、医療行為や症状については専門家にお尋ねください。
産声のない出産











気持ちとは裏腹に処置は順調に進み、ついに迎えた出産の日。
陣痛促進剤を挿入されたかばのきさんは、その時を待ちながら、おなかの赤ちゃんに声をかけます。
「今日は晴れてて、とても気持ちがいいよ。出ておいでー」
本格的な陣痛が始まるまでの間、穏やかな気持ちで過ごします。
長女のこつぶちゃんを出産したときと比べ、痛みが強まらず、まだこれからかと思っていた矢先、あっさりと出てきてくれた赤ちゃん。
「きみはそんなに小さかったのか」
長女のときとあまりにも違うお産……
赤ちゃんのその小ささを思い知り、悲しさがこみ上げるのでした。
▼陣痛が始まるまでの間、とても穏やかな時間を過ごせたというかばのきさん。実は染色体異常を指摘されてから、おなかの赤ちゃんに話しかけられず「ごめんね」としか言えなかったそう。当時は悲しみでいっぱいでしたが、「一緒にいられた最後の時間に話しかけられて良かった」と振り返るかばのきさん。
最後の最後に、赤ちゃんとの思い出ができて良かったですね。
※ラミナリアの挿入本数や痛みについては個人差があります。また、入れ替えの回数やタイミング、食事摂取等に関しては施設や予定されている処置によって異なります。
監修者:助産師 関根直子筑波大学卒業後、助産師・看護師・保健師免許取得。総合病院、不妊専門病院にて妊娠〜分娩、産後、新生児看護まで産婦人科領域に広く携わる。チャイルドボディセラピスト(ベビーマッサージ)資格あり。現在は産科医院、母子専門訪問看護ステーションにて、入院中だけでなく産後ケアや育児支援に従事。ベビーカレンダーでは、妊娠中や子育て期に寄り添い、分かりやすくためになる記事作りを心がけている。自身も姉妹の母として子育てに奮闘中。
著者:マンガ家・イラストレーター かばのき
