
監修医師:
大坂 貴史(医師)
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
十二指腸憩室の概要
十二指腸憩室とは、十二指腸(胃のすぐ先にある腸)の壁の一部が外にふくらみ、袋のようになった状態のことです。憩室は大腸にもよく生じますが、十二指腸では大腸の次によく見られます。高齢の人ほど多くなり、1〜30%の人が十二指腸憩室を持っているとも言われています。症状はないことが殆どですが、炎症を起こしたり出血したりすることがあります。その場合、強い腹痛や吐き気、発熱などの症状が現れます。十二指腸憩室があっても症状がない限りは治療しませんが、炎症が起きている場合は抗菌薬や腸の減圧などを行います。出血が起きている場合は内視鏡を用いて止血を行うことが多いです。腸に穴が開くなど重症な場合は手術療法が行われることもあります。
十二指腸憩室の原因
十二指腸憩室には先天性のものと後天性のものがありますが、ほとんどの十二指腸憩室は年をとってからできる後天性です。
腸の壁の一部には、血管や胆管、膵管などが通るために生まれつき弱い部分があります。腸の動きによる圧力がかかったり、加齢で壁を支える力が弱くなったりして、粘膜が外に押し出されることで憩室が生じます。十二指腸の中でも特に胆管(胆汁や膵液などの消化液が分泌される場所)が開口している場所の近くは構造的に弱く、憩室ができやすい場所です。

