「十二指腸憩室」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

「十二指腸憩室」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

十二指腸憩室の前兆や初期症状について

多くの場合、まったく症状はありません。一生のうちに症状が出る人は約10%で、その中で治療が必要になるのはさらに少なく、1%程度です。

ただし、袋の中に食べかすがたまって炎症を起こすと憩室炎になり、腹痛や発熱、下痢が生じます。また、炎症や腸の動きによって袋の中の血管が切れると血が出ます。腸の動きや、たまった食べかすによる炎症が原因になります。

重症化すると憩室に穴が開くこともあり、穿孔と言います。十二指腸憩室の穿孔はとても珍しく、これまでに約100例しか報告されていません。もし起きた場合は急に強い腹痛を感じます。腹膜まで炎症が及んでいる場合は、お腹を押して離すとさらに強い痛みを生じることもあります。

そして、胆管の開口部近くでは、胆汁や膵液の通り道がふさがれて炎症が起きることもあります。その結果、胆管炎や膵炎を合併し、腹痛や吐き気、発熱などの症状が出る場合もあります。

十二指腸憩室の検査・診断

十二指腸憩室の診断のためにはまず内視鏡検査が行われます。内視鏡検査は胃カメラとも呼ばれています。口もしくは鼻から柔らかい管を入れて、食道や胃・十二指腸の内側をカメラで確認する検査です。検査を行う際にはのどの麻酔を使って苦痛を減らして行います。十二指腸憩室をカメラで直接観察することができます。また、胆石を除くために内視鏡検査(ERCP:内視鏡的逆行性胆道膵管造影)は行われることがあり、この際に十二指腸憩室が偶然見つかることもあります。

十二指腸の奥の方にある憩室は内視鏡で見づらいため、CTやバリウム検査(消化管造影)が使われます。バリウム検査は、バリウムという白い液体の造影剤を飲んで、胃や食道、十二指腸の形や動きをレントゲンで調べる検査です。バリウムはレントゲンに写りやすいため、十二指腸から飛び出した憩室の形を確認することができます。検査では、バリウムを飲んだ後に体の向きを変えたり台を傾けたりしながら撮影し、いろいろな角度から確認します。内視鏡のように直接観察はできませんが、体への負担が少なく短時間で広い範囲を調べられるのが特徴です。

これらの検査で十二指腸憩室の形が確認されれば診断されます。

配信元: Medical DOC

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