十二指腸憩室の治療
症状がない場合は治療を行う必要はありません。憩室炎を起こした場合は抗菌薬で治療し、出血がある場合は内視鏡で止血します。止血法は高張ナトリウムエピネフリンという薬を注射する、熱で焼く、クリップで止めるなどの方法があります。それでも血が止まらない場合は、血管を詰めるカテーテル治療や手術療法を行います。
また、もし穿孔をきたした場合、多くは手術で憩室を切除します。軽症の場合は抗菌薬や腸の減圧、絶食を行うことで治ることもあります。
胆管炎や膵炎を合併した場合は絶食や憩室の中身を取り除く治療が行われます。それでも効果が不十分な時は内視鏡で乳頭を切開する治療やステントと呼ばれる管を入れて胆汁や膵液の流れをよくする治療が行われることもあります。
十二指腸憩室になりやすい人・予防の方法
十二指腸憩室は、調査によっては人口の1〜30%で見つかります。年をとるほどできやすく、数や大きさも増える傾向があります。また、内視鏡検査や内視鏡的な治療を行った人では30%ほどで発見されるという報告もあります。
予防する方法ははっきり分かっていませんが、十二指腸憩室を持つ人は食物繊維を多く含む野菜や果物、穀物を食べるよう意識すると良いと言われています。また、便秘を避けるために、水をたくさん飲んだり、定期的に運動したりすることも良いかもしれません。
そして、十二指腸憩室を持つ人は以下のような状況になったら早めに医療機関を受診しましょう。
38度以上の熱がある、または寒気を感じて震える場合
腹痛がだんだん強くなった場合
吐いたものがコーヒー色をしていた場合
便が赤かったり黒かったりした場合
便の硬さが急に変わった場合
参考文献
矢崎義雄 et al.「内科學第11版」(朝倉書店、2017年)1010ページ
南学正臣 et al.「内科学書1改訂第9版」(中山書店、2019年)118-120ページ
UpToDate. “Patient education: Diverticulosis (The Basics)” (最終更新日2025年8月16日、最終閲覧日2025年8月16日)

