
これは郵便配達員が実際に経験した不思議な体験談だ。いつも配達で伺う山口さんの家には、とても元気なポメラニアンの「ココ」がいた。飼い主が注文したおやつやおもちゃを運んでくる配達員のことをココは大好きで、いつも歓喜してお出迎えをしてくれていた。



■「ココ、亡くなったんです」山口さんは静かに言った
しかしある日、山口さんの家に書留を届けに行くと、ココの姿はなく、鳴き声も聞こえない。家中が静まりかえっていた。「ココ、亡くなったんです」。山口さんは静かにそう言い、「私のせい」「私がココの名前を呼んだから」と自分を激しく責めていた。
かける言葉も見つからなかった郵便配達員だったが、2カ月ほど経ったころ、山口さんが突然明るい笑顔を浮かべていることに気づく。珍しく思い「何かいいことがありましたか」と尋ねてみた。
すると、山口さんの身には世にも不思議な出来事が起こっていたのだという。少しためらいながらも、山口さんはその体験談を話し始めた。愛犬の死を自分のせいだと責め続けていた飼い主に、一体何が起きたのだろうか。
■ノラ猫に守られる局員も?配達員が持つ「心の地図」
本エピソードは、現役郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さんが、実際に経験した不思議な話や怖い話を漫画化した『郵便屋が集めた奇談』に収録されている。
配達先の犬や猫と顔なじみになることは少なくない。送達ねこさんによると、犬好きの局員がじゃれられて制服に毛をつけて帰ってきたり、ポストから猫にタッチされそうになったりと交流を楽しんでいるという。なかには「ノラ猫に用心棒されている」と語る配達員もいるそうだ。踏み込むのをためらうほど嫌な空気が漂う場所で、顔なじみのノラ猫が威嚇して空気を変えてくれた経験から、「俺は猫に守られている」と心強く感じているという。動物たちは人間の気持ちを察したり、計り知れない世界とつながっていたりするのかもしれない。
配達員は毎日同じ街を回るため、細かなことにも気づきやすい。「街を回りながら、窓辺に寄ってくるワンちゃん猫ちゃんの姿に癒やされている配達員もたくさんいます。配達地図とは別に、それぞれに心の地図があって、ホッとするピンを足してもらっているのかもしれません」と送達ねこさんは語る。日本のどこかの町でひっそりと起こっている“怪異”を、本作を通して覗き見してみてはいかがだろうか。
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

