「久しぶりに外出できた」うれしそうに話す母の言葉が、地味に傷つく #母の認知症介護日記 336

「久しぶりに外出できた」うれしそうに話す母の言葉が、地味に傷つく #母の認知症介護日記 336

アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。

先日、施設で暮らす母・あーちゃんが何食わぬ顔で「実は私、家に行ってきたのよ」と言っているのを聞いて、姉・なーにゃんは驚きを隠せませんでした。この「家」というのは、もちろん今は父がひとりで暮らしている自宅のこと。なーにゃんは「行ってないよ!」と否定しますが、あーちゃんはひとりで行ったと言い張ります。冷静に「あーちゃんは、施設に引っ越してから一度も家には行っていない」と言ったところ、ようやく「そうなの……?」と渋々受け入れていました。そもそも、施設から最寄り駅までひとりで行けない今の状態で、自宅までたどり着くのは不可能に近いと思います。でも、万が一あーちゃんがひとりで施設の外に出てしまうようなことがあったなら、超人的な力を発揮して自宅に帰ってしまうような気もして、ワフウフさん姉妹はそれが何よりもおそろしいと思っています。

こんなに出かけているのに…

ワフウフさんがあーちゃんの面会に行く予定の日、外はどしゃ降りの雨でしたが、認知症の主治医の指示であーちゃんに飲ませているサプリメントが、その日の朝の分までしかなかったため、ワフウフさんは面会へ行く支度をしていました。すると、あーちゃんから「今日は大雨だし、遠いんだから来なくていいからね?」と電話がかかってきて、こういう気づかいがまだできることを、ワフウフさんはうれしく思っていました。ワフウフさんがなんとか面会に行くと、あーちゃんはうれしそうにしてくれたのですが、散歩はできそうにありません。そこで、施設内の自販機で飲み物を買おうという話に。あーちゃんはワフウフさんの分も支払おうとして、なぜか下着が入っている引き出しに手を入れてお金を探しますが、見つからず……。結局、ワフウフさんが「預かっているお金から払う」と説得して、支払いました。

母の認知症介護日記/ワフウフ

あーちゃんと出かけているとき、駅ビルで気になる洋服を見つけました。あーちゃんも「試着してみなさいよ!」と言ってくれたので、試着してみることに。

母の認知症介護日記/ワフウフ

試着室で着替えている途中、仕切りの向こうであーちゃんと店員さんの話す声が聞こえてきました。

母の認知症介護日記/ワフウフ

会話をよく聞いてみると、あーちゃんは今の自分が「入院中」であると言っています。やはり、あーちゃんの中では、施設ではなく病院にいると思っているのでしょうか?

母の認知症介護日記/ワフウフ

しかも、外出は「久しぶり」と言っています……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

もしかして私、入院中で外出許可が出た母親を連れ回して、自分の服を見ている鬼のような娘だと思われていない……?

母の認知症介護日記/ワフウフ

あーちゃんは、たくさん歩きたがるのですが、いざ歩くと翌日に足の痛みやだるさを訴えます。

母の認知症介護日記/ワフウフ

本人は「歩かない生活をしているから」と思っているようですが、前日たくさん歩いたことを忘れているだけで、むしろ歩きすぎなのです……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

外出時も、歩きすぎないようにバスの利用を提案すると……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

それが、あーちゃんの中では「歩かない生活をしているから、足が弱ってきている」という結論になるようです。

母の認知症介護日記/ワフウフ

私たちが面会に行かない日は、施設内で過ごすので全然歩けていないのですが、私たちはしょっちゅう面会に行っていて、外にも連れ出しています。

母の認知症介護日記/ワフウフ

あーちゃんからも、一応感謝の言葉はあるのですが、「しょっちゅう散歩に連れ出している」ことへの感謝ではなく、「歩かない生活をしているのは、あなたたちのせいじゃなくて、十分よくしてもらっている」という気づかいの言葉に聞こえてしまいます。

母の認知症介護日記/ワフウフ

こんなにしょっちゅう外出しているのに、記憶に残っていないのは悲しい……。

あーちゃんと散歩中、駅ビルで気になる洋服を見つけました。あーちゃんが「あら、ステキじゃない! 試着してみなさいよ!」と言ってくれたので、試着することに。試着室で着替えていると、仕切りの向こうから、あーちゃんと店員さんの会話が聞こえてきたのですが……。「娘さんとお買い物ですか? 仲が良くていいですねえ!」と言われたあーちゃんは、なんと「ええ、あたくしねえ、今入院しているものですから、娘が来てくれたから久しぶりに外出できたんですのよ!」と答えていました……! 私、入院中で外出許可が出た母親を連れ回して、自分の服を見ている鬼のような娘だと思われていない……? そして、こんなに散歩に連れ出しているのに、外出が「久しぶり」と言われたのもショックです……。

あーちゃんは、たくさん外を歩きたがるのですが、あまり長く歩かせると、翌日、足の痛みやだるさを訴えます。前日、たくさん歩いたことなどが記憶に残っていないため、決まって「歩かない生活をずっとしているせいなのか……」と言うのです。そこで、歩きすぎないように外出時に「次の日、足が痛いって言いだすから、帰りはバスで帰ろうね!」と提案したところ、今度は「歩かない生活をしているから、足が弱ってきているのね!」と言っていて、あーちゃんの頭の中ではすっかり「歩かない生活」をしていることになっていました……。

一応「私たちがしょっちゅう散歩に連れ出しているでしょ?」と聞いてみると「そうね! こんなに会いに来てもらっている人、他にいないわよ。本当によくしてもらってありがたいわ!」と、お礼の言葉ももらったのですが、それは「しょっちゅう散歩に連れ出している」ことへの感謝ではなく、「歩かない生活をしているのは、あなたたちのせいじゃなくて、十分よくしてもらっている」という気づかいの言葉に聞こえてしまいました。こんなにあちこち連れ出しているのに、あーちゃんの記憶には全然残っていないなんて……悲しすぎる!

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出かけていることは忘れてしまっても、あーちゃんの中には、ワフウフさん姉妹によくしてもらっているという温かい気持ちがちゃんと残っているようですね。報われないように見える日々でも、積み重ねたやさしさは、きっと見えないところで届いているのではないでしょうか。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

著者/ワフウフ
昭和を引きずる夫、成人した息子娘を持つ50代主婦。実母のアルツハイマー型認知症発覚をきっかけに備忘録としてAmebaでブログを始める。2019年一般の部にてAmebaブログオブザイヤー受賞。 2023年4月、書籍「アルツフルデイズ 笑いと涙の認知症介護」発売。

配信元: 介護カレンダー

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