
歌舞伎俳優の市川右團次がカウンターに座りお酒を酌み交わしながら、地元で愛される町寿司の歴史や魅力を紐解く、「今宵、町寿司で市川右團次と小粋な一献」(毎週土曜夜10:00-10:30、BSテレ東/BSテレ東4K)。Season2第1回目となる7月18日の放送では、東京屈指の“食の街”神田須田町にある「鮨葵」へ。“ベテラン看板娘”が作る「ねぎま鍋」をはじめ、数々の名物料理に舌鼓を打つ。
■小川町駅から徒歩1分「鮨葵」へ
「失礼いたします」「歌舞伎の市川右團次でございます」とSeason1から変わらぬ丁寧なあいさつをかわしながら入店した市川。大将の田口さんも、おだやかに「どうぞこちらへおかけください」と席へ案内してくれる。店内は町寿司のイメージにぴったりと合う、温かみのある落ち着いた雰囲気だ。
同店は創業から21年が経ち、屋号「葵」の由来は大将の娘からなのだとか。娘さんが1歳の時に出店したこと、そして大将が和歌山出身という経緯から、馴染みある「葵」という言葉をチョイスした。大将は伯父が東京でお寿司屋さんをやっていたため、そこで出前からスタートし7年間修行。さらに湯島の寿司屋で16年の修行のうえ45歳で独立し、ここ神田須田町に店を構えた。
パートの大塚さんは勤続20年の“ベテラン看板娘”。近所にある昭和24年創業の和菓子店「庄之助最中」の女将さんが直々に紹介してくれた人物だ。さらに明治17年創業の「神田まつや」も「鮨葵」のご近所。“神田は創業100年以上じゃないと老舗って言っちゃいけない”というエピソードからも、神田という町のすごさが伺える。
さっそく席についた市川だが、しばし沈黙の時間が流れる。シーズン2初回にして初めて伺う店のため、お互いに緊張しているようだ。口火を切ったのは大将で「お飲み物はどうしますか?」と市川に尋ねた。市川は「ビーラーなので…」と前置きをしてビールを注文。
「今日はどうぞよろしくお願いします」と、ビールを一気にあおる。「あ〜うまい!」の言葉を聞いた大将は、「少しおつまみでよろしいでしょうか?」と切り出す。飲みっぷりからつまみを欲していることを察知したのだろう。さすがのサービス精神だ。
■1日分のみの仕入れをするこだわりのスタイル
つまみは“ここぞというところを少しずつ”と注文した市川。届いたのは「刺し盛」で、見事な彩りが食欲と感動を一度に連れてくる。マグロは天然の生にこだわっている「鮨葵」。毎朝豊洲へ通い、生きた魚を市場で締めてもらう。1日分のみの仕入れをするスタイルにこだわっているそうだ。
刺し盛りはそんな大将イチオシの本マグロのほか江戸前のタコ、旬のトリ貝や甘エビ、玉子といったラインナップが並ぶ。「綺麗だなぁ」とうっとりとした表情を見せる市川。マグロを口にすると、「生マグロって甘味がある」と大将の目利きに感服していた。
さらに「江戸前握りのおすすめ」をいただくことにした市川。まずは中トロを握ってもらう。シャリと一緒では刺身とまた違った味わいになり、思わず「カミさんに食わしてやりたい」と本音がポロリ。
次いで穴子もいただき、「あ〜たまらんなこれ」と甘辛いツメについて詳しく伺う。ツメは焼いた穴子の頭と中骨を入れてエキスを抽出しているらしく、しっかりとした味わいが特徴。さらにアジやカツオも握ってもらうと、どれも濃厚な味わいで市川の顔がどんどん綻ぶ。
大将のすすめで名物「カツオのたたき」をいただくことになった市川。ひと口食べて「これは日本酒じゃないですか」と冷酒を注文したところで、常連さんが来店してきた。その常連さんが折しも日本酒のお土産を持ってきていたたため、ご相伴に預かることに。さらにおつまみのおすそ分けまでいただき、町寿司ならではの温かい空間を楽しんだ。
「鮨葵」は他にも名物があり、そのひとつの“ねぎま鍋”を常連さんが注文。ねぎま鍋の“ねぎま”とは、ネギとカマトロのこと。小鍋に焼いた白ネギとカマトロを入れ、しょうゆ・酒・みりんで優しく味付けをする。このメニューはベテラン看板娘・大塚さんが調理しているようで、「めっちゃ美味しい」と喜ぶ市川に「よし!嬉しい!よかった」と嬉しそうな表情を見せていた。
さらに天然マグロの中落ち鉄火巻という名物を聞いた市川は、持ち帰りが可能かを尋ねる。どうやら「鮨葵」の味を家族にも味わってほしいらしく、「うちのせがれと家内に」とお土産として注文。よほど気に入ったようだ。
最後の一貫には、いまが旬の“シロイカの生ゲソ握り”をいただくことに。鮮度が良いからこそ味わえる握りに、「ウマいね!大将」と興奮を隠せないようすだった。
■食の街で自信を持って提供する町寿司
「今宵、町寿司で市川右團次と小粋な一献」では、お邪魔した町寿司にお礼の言葉と手拭いを渡すのが恒例となっている。今回は「葵の名、冠した大将の愛情に感動した鮨葵!!」を送った。
“食の街”神田で仕入れにこだわり、どの食材も自信を持って提供する大将。大将の店へ通い始めてから、苦手な光り物が好きになったという常連さんもいるほどだ。
たくさん食べて飲んだ市川だが、今回のお会計は7900円。常連さんや大将からのおすそ分けもあり、値段以上に大満足の結果となった。次回7月25日(土)夜10時からの放送は、江戸の面影を今に残す日本橋室町にひっそりと暖簾を掲げる店へ伺う。町寿司で一献、次回も小粋な時間を市川とともに楽しみたい。

