夫の仇を討つため“復讐の鬼と化す刑事” 警察組織に潜む巨大な闇<八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課->

夫の仇を討つため“復讐の鬼と化す刑事” 警察組織に潜む巨大な闇<八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課->

「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」より
「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」より / (C)HJホールディングス

黒木メイサが11年ぶりに連続ドラマ単独主演を務めるHuluオリジナル「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」(Huluにて毎週金曜最新話配信/全5話)。7月24日(金)より独占配信を開始し、初回は第1話と第2話が一挙公開された。深町秋生のベストセラー小説を実写化した本作は、上野を舞台に“目的のためなら手段を選ばない”孤高のマル暴刑事・八神瑛子の壮絶な戦いを描く復讐サスペンスだ。その目的とは半グレ集団と暴力団の薬物を巡る抗争の背後に潜む、亡き夫の不可解な死の真相。一挙配信の第1話・第2話から緊迫した展開が繰り広げられる本作について、圧倒的な熱量と見どころを紐解く。

■夫の死を追う刑事・八神瑛子が巨大犯罪組織の闇へ足を踏み入れていく

上野中央署・組織犯罪対策課の警部補である八神瑛子(黒木)は、署への報告もなく半グレ集団「東京同盟」の幹部を薬物売買の現行犯で逮捕する。だが、それは単なる独断捜査ではなかった。瑛子はその幹部を暴力団「千波組」の縄張りで逮捕することにより、組長の有嶋章吾(奥田瑛二)へ接触しようとしていたのだ。

瑛子がそこまで危険な捜査に執着する背景には、1年前に亡くなった夫・雅也(毎熊克哉)の存在がある。フリーライターだった雅也は巨大犯罪組織である「東京同盟」を追っていたさなか、奥多摩で遺体となって発見された。警察は自殺と断定したものの、瑛子は当然そんな結論を受け入れられない。

なぜなら2人の間には、間もなく子どもが生まれる予定だった。その状態で自殺することがあろうか。しかしそんな瑛子自身も雅也の死の直後、追突事故に遭ってしまう。その影響で子どもまで失うという事態に陥った瑛子。彼女は最愛の家族を立て続けに奪われた喪失感と怒りを、事件の真相究明にかける情熱に変えたのだった。

第1話では中国系マフィアのボス、リウ・インリー(りょう)とそのボディガードのリカ(藤本ルナ)と手を組み、「千波組」No.2の甲斐(藤木直人)と取引を重ね、ついに有嶋との対面を果たす。有嶋は「東京同盟」に絶対的なボスがいることを認め、雅也がその正体へ迫っていたことがわかった。やはり雅也は口封じされたのだ。

第2話では、「東京同盟マニラ」の違法薬物工場から逃げてきたルイス・キタハラが、物語の鍵を握る証言者として登場する。キタハラは雅也と生前に連絡を取っており、夫の死へつながる情報を持っていた。しかし情報を得るためには、キタハラを狙う殺し屋グラニソ(小島健)を排除しなければならない。瑛子は刑事という立場を危うくする取引に足を踏み入れていく。

「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」より
「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」より / (C)HJホールディングス

■黒木メイサが体現する、強さの裏に喪失を抱えた主人公

第1話から「東京同盟」に雇われた殺し屋グラニソが白昼堂々と殺人を犯し、瑛子が相対している組織の危険性が浮き彫りに。瑛子が繋ぎをつけた街の裏社会を牛耳る暴力団「千波組」との綱渡りにも似た緊迫感あるやり取りに比べても、明らかに「東京同盟」の凶暴性は図抜けている。

瑛子がリウ・インリーとの接触において“覚悟”を見せたこと、情報源である「千波組」との仁義を守っていること、そして怪しい動きを見せる警察組織に対してむしろ距離を取っていること。第1話ではグレーというより“黒寄り”な立ち位置にいる瑛子の状況が明らかになった。

明確な指示系統を持たず、流動的に活動しているように見えた「東京同盟」に“絶対的なボス”がいた…という情報を得た瑛子。そして「東京同盟」が違法薬物を製造するマニラ工場で経理を担当していたキタハラの身柄を確保したときも、身内であるはずの警察にその保護場所を隠していた。真相へ近づいていくごとに深みにハマっていく瑛子だが、その動きはある程度署長にも把握されている。誰が敵で、誰が味方か――張り詰めた緊張感が続く。

そんな本作で強い印象を残すのは、瑛子が一般的な刑事ドラマの主人公とは大きく異なる点だ。彼女は組織の命令を守りながら事件を解決するのではなく、自らの目的のために警察組織すら利用しようとする復讐鬼という立ち位置にいる。

警察の内部情報を裏社会の人間へ渡し、暴力団や中国系マフィアと取引をする姿は“正義の刑事”とは程遠い。キタハラに対して「(情報が嘘だったら)あんたも殺すかもしれない」と告げる場面からも、瑛子がすでに後戻りできない場所に立っていることがわかる。言葉の端々、冷たい視線からほの暗い狂気の情熱が覗く。

ただし夫の死の真相へ近づくほど、“瑛子は雅也が守ろうとした”はずのものから遠ざかっているようにも見える。刑事としての倫理や自らの命を差し出してまで真実を求める姿は、痛々しくも危うい。本作の大きな見どころは瑛子が犯罪組織の正体を暴けるかだけでなく、復讐の闇に呑み込まれずにいられるかという点にもあるだろう。
「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」より
「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」より / (C)HJホールディングス


■警察内部に潜む裏切り者は誰なのか 五条と川上の動きにも注目

第2話までを見る限り、「東京同盟」は単なる犯罪集団ではなく、警察を含む社会のさまざまな場所へ影響を及ぼしている可能性が高い。

その象徴となるのが、瑛子が秘密裏に保護していたキタハラの潜伏先が「東京同盟」へ漏れてしまったことだ。キタハラ自身の怪しい動きも関係していると思われるものの、グラニソにキタハラの位置を伝えて襲撃を指示したのは「東京同盟」のボス。「千波組」、警察組織、またはそれ以外…一体誰がキタハラの所在をボスに伝えたのだろうか。

特に気になる存在が、瑛子の上司である川上修平(池内博之)だ。川上は雅也の死について再捜査を求める瑛子を冷たく退けた過去がある。もちろん組織人として所轄の判断を尊重しているだけとも考えられるが、第2話では別の顔を持っていることを予感させる不穏な描写もあった。

雅也の遺体からアルコールが検出されたにもかかわらず、下戸だったという瑛子の証言が捜査に反映されていない点も不可解だ。雅也の死を早急に自殺として処理する必要があった人物が、警察内部にいる可能性も否定できない。署内で瑛子に向けられている「千波組の犬」という疑いも、もしかしたら彼女を孤立させて自由に動けなくするための誘導という線も考えられる。

一方、「東京同盟」を追う新宿南署の刑事・五条隆文(高良健吾)が自身も事故で大切な人を亡くしたと明かし、瑛子へ協力を申し出ていた。孤立する彼女にとって心強い存在になりそうだが、現段階では全面的に信頼できるか判断がつかない。瑛子へ近づいた理由や、彼が過去に経験した事故が物語とどのようにつながるのかも注目したい。

「東京同盟」のボスは、すでに瑛子の身近にいる人物なのか。それとも、警察や裏社会をさらに上から操る存在なのか。敵と味方の境界が見えない状況の中、瑛子が誰を信じ、どこまで一線を越えてしまうのかが、今後の物語を左右していきそうだ。

「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」
「八神瑛子 -上野中央署 組織犯罪対策課-」 / (C)HJホールディングス


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