アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。
ワフウフさんが施設で暮らす母・あーちゃんの面会に行く日。外はどしゃ降りの雨でしたが、認知症の医師の指示であーちゃんに飲んでもらっているサプリメントが、その日の朝の分しかなく、ワフウフさんはそれを届けるために面会へ行く支度をしていました。すると、あーちゃんから「今日は大雨だし、遠いから来なくていいからね?」という電話が。認知症は進行していますが、こういう気づかいがまだできることを、ワフウフさんは素直にうれしく思っていました。雨の中、ワフウフさんがなんとか面会に行くと、あーちゃんはうれしそうにしてくれたのですが、散歩はできそうにありません。そこで、その日は施設内の自販機で飲み物を買っておしゃべりすることに。あーちゃんはワフウフさんの分も支払おうとして、なぜか下着の入った引き出しの中に手を入れてお金を探しますが、見つかりません……。結局、ワフウフさんが「預かっているお金から払う」と説得して、支払ったのでした。
否定しないのが正解?
あーちゃんと散歩中、駅ビルで気になる洋服を見つけたワフウフさん。あーちゃんも「試着してみなさいよ!」と言ってくれたので、試着することに。試着室で着替えていると、仕切りの向こうから店員さんとあーちゃんの会話が聞こえてきたのですが、あーちゃんは自分の状況を「入院中」だと言い、「娘が着てくれたから久しぶりに外出できた」と説明していました。その言葉に、入院中で外出許可が出た母親を連れ回して、自分の服を見ている鬼のような娘だと思われていない……? と、ワフウフさんは気になってしまいました。そして、こんなに散歩に連れ出しているのに、外出が久しぶりと言われたことにも、ショックを受けていました。

なーにゃんに話していた「ひとりで家に行った話」を、私にもしてきたあーちゃん。あーちゃんの中では、父の妹(私たちの叔母)が亡くなったから実家に帰ると父から連絡があり、その隙に家に行ったことになっているようです。

ちなみに、叔母はまだ健在です。

涼しい顔でありもしないことを話すあーちゃん。
※たんたん:ワフウフさん姉妹の父。あーちゃんの夫。

そもそも、父はあーちゃんの連絡先を知らないので、連絡がくることはないのですが……。

険しい顔で、家の状況を話していたのですが……。合っているのは「父がひどい人」の部分だけで、あとは私たち姉妹が見て伝えたことです。

一応、やんわり伝えてみると、今度は「あなたたちと一緒に行ったんだったかしら?」と話が変わったものの、あくまでも家に行ったと言い張ります。

私たちは姉妹だけで行ったと言うと「じゃあ、私が行ったのは別の日なのね!」と、やはり家に行ったというのはゆずれないようです。

あーちゃんはひとりで外出できないと伝えても「ちょっと家に戻りたいって言ったら、出してもらえた」とのこと。

その理由で、施設から出してもらえるわけないはずですが……。

こういうときに限って、施設から駅までの道順もしっかり答えます。

帰りのバスも乗り場はわかっているようです。

しかし、降りる駅を聞くと、急に自信なさげに黙ってしまいました。

そして、すぐにムキになって「絶対にひとりで家に戻った」と言っていました。ウソの出来事の記憶が鮮明にあるとは、なんとも皮肉です。
あーちゃんとお茶をしているとき、以前あーちゃんが姉・なーにゃんに話していた「自宅にひとりで行ってみた」という話を私にもしてきました。あーちゃんいわく、父から妹(私たち姉妹の叔母)が亡くなったから実家に戻るという連絡がきたので、ひとりで家に行ってみたとのこと。そもそも、父はあーちゃんの連絡先を知らないし、叔母は健在なので、この時点で突っ込みどころが満載です。
そのまま話は続き、父があーちゃんの部屋にお金がないか探していたことを「本当にひどい人」と険しい顔で言っていました。まあ、父がひどい人だというのは正しいと思うのですが、部屋を荒らしていたのは私となーにゃんが見て伝えたことです。一応、そう伝えてみたのですが「あら、私ひとりじゃなくて、あなたたちと一緒に行ったんだったかしら?」と言います。その後も、あーちゃんはひとりで家に行っていないと繰り返し説明しますが、納得がいかない様子……。
あーちゃんは「ちょっと家に戻りたい」と言ったら、施設のスタッフさんに外に出してもらえたと言い張りましたが、そんなことを言ったら、余計に外出させてもらえないはずです。そもそも、あーちゃんは施設から駅まで行けないと言っても、「バスに乗ればいいのよ!」と、まともな回答をしてきます。しかし、降りる駅を聞いたところ、あーちゃんは急に自信がなさそうに黙り込んでしまいました。そして、それをごまかすかのようにムキになって「私、絶対にひとりで家に戻ったのよ! 記憶があるもの!」と言っていました。頭の中で作られたウソの出来事だけ記憶に残るなんて、なんだか皮肉で悲しくなってしまいました……。認知症の人が言うことは、一般的に否定してはいけないと言われていますが、否定せずに聞くのはかなりつらいです。
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現実の出来事は忘れてしまうのに、自信満々で語られる「脳内ノンフィクション」だけは鮮明というのが、なんとも皮肉ですね……。話していることを強く否定するのではなく、適度に突っ込みを入れながら、お互い楽しく会話ができるといいですね。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者/ワフウフ
昭和を引きずる夫、成人した息子娘を持つ50代主婦。実母のアルツハイマー型認知症発覚をきっかけに備忘録としてAmebaでブログを始める。2019年一般の部にてAmebaブログオブザイヤー受賞。
2023年4月、書籍「アルツフルデイズ 笑いと涙の認知症介護」発売。

