糖尿病性腎症の前兆や初期症状について
糖尿病性腎症は、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。早期に発見するには検査が必要です。進行すると溢水(いっすい)症状、消化器症状、貧血などが現れます。溢水(いっすい)症状は全身に水がうっ滞することによる症状です。足が浮腫み、胸やお腹に水がたまることもあります。消化器症状としては吐き気や食欲不振などが見られます。また、腎臓は赤血球を作るホルモンを出しているため、その働きが低下すると貧血が起こります。自覚症状が出たときには、すでに病気が進んでいることが多いため、定期的な検査で早期発見することがとても大切です。
糖尿病性腎症の検査・診断
糖尿病性腎症の診断は、症状に加えて尿検査や血液検査で腎機能を調べることで行われます。特に尿に含まれるタンパク質やアルブミンが重要な手がかりになります。
病気の進行度は次のように分類されます。
第1期:尿にタンパクは出ないが、腎機能が少し落ちていることがある。
第2期(早期腎症期):尿に微量のアルブミンが出る。尿検査を3回行ったうち2回以上、30〜299mg/mgCrのアルブミンが検出される。
第3期(顕性腎症期):尿中アルブミンが300mg/mgCrを超える。またはタンパク尿が持続的に陽性となる。
第4期(腎不全期):腎機能が著しく低下。透析を検討する段階。
第5期(透析療法期):腎機能が失われ、透析が必要になる。
糖尿病の合併症には網膜症や神経障害もあります。腎機能障害が見られてもこれらの糖尿病合併症が見られない場合には他の病気が原因の腎機能障害かどうかを調べるため、腎生検が行われることもあります。

