糖尿病性腎症の治療
糖尿病性腎症の治療の中心は進行を遅らせることです。一度壊れた腎臓の機能は元には戻らないため、早期からの治療が大切です。
治療は血糖コントロールが最も重要となります。食事療法や薬、インスリン注射などで血糖をできるだけ正常に近づけます。
その他に、血圧管理や生活習慣の改善を行います。高血圧を合併している場合は降圧薬を用い、130/80mmHg未満を目標とします。生活習慣の改善としては、脂質のコントロール、禁煙を行います。
また、近年に登場したSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬は糖尿病性腎症の進展予防のために使われることがあります。
糖尿病性腎症になりやすい人・予防の方法
糖尿病性腎症は糖尿病の人に起こる病気です。その中でも糖尿病性腎症の家族歴がある方、特に透析の家族歴がある方には起こしやすいと言われています。2型糖尿病の増加とともに患者数も増えてきましたが、2010年以降は減少傾向にあると報告されています。日本で行われた調査では、2型糖尿病の患者さんのうち32%が第2期(早期腎症)、7%が第3期(顕性腎症)、2.6%が第4期(腎不全)にあたり、全体として40%以上の人が腎症を発症していると考えられています。
予防のポイントは血糖値並びに血圧を良好にコントロールすることです。高血糖を放置すると腎臓が徐々に傷んでしまうため、日常的に血糖値を管理することが最も大切です。
参考文献
矢崎義雄 et al.「内科學合本第10版」(朝倉書店、2013年)1461-1463ページ
糖尿病診療ガイドライン2024 9章糖尿病性腎症

