「コレラ」に感染するとどうなるのかご存じですか?【医師監修】

「コレラ」に感染するとどうなるのかご存じですか?【医師監修】

コレラの治療

コレラの治療で最も重要なのは、失われた水分と電解質を取り戻すことです。

軽症の場合は経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)を飲むことで回復できます。経口補水液は、砂糖と塩を適切な割合で水に溶かしたもので、体に吸収されやすいように工夫されています。世界保健機関(WHO)は1リットルの水に塩やブドウ糖を混ぜたレシピを推奨しています。特に発展途上国では命を救う手段として広く使われています。脱水症状が強い場合でも、経口補水液を十分に飲むことで数日で回復できることもあります。

重症の場合は点滴で大量の水分と電解質を補います。さらに抗生物質を併用すると、下痢の期間や菌の排泄期間が短くなり、回復が早まります。よく使われるのはテトラサイクリン系やニューキノロン系と呼ばれる種類の抗菌薬ですが、こうした薬剤に耐性のあるコレラ菌の場合は他の薬を選ぶこともあります。

コレラになりやすい人・予防の方法

コレラは歴史的にこれまで7回の世界的大流行がありました。最初の流行は1817年にインドで始まり、その後も繰り返し世界に広がりました。現在も1961年に始まった第7次流行が続いており、主にアジアやアフリカの一部で流行しています。毎年WHOに報告される患者は20〜30万人ほどですが、実際にはそれ以上いると考えられています。

日本では、国内での流行はここ数十年起こっていません。感染例の多くは、海外の流行地(インド、バングラデシュなど)に渡航した人が帰国後に発症したケースです。国内で二次感染が広がることはほとんどありません。

現在、コレラに対する経口ワクチンの研究が進んでいますが、実用化されたワクチンはありません。そのため、コレラを予防するにはまず衛生的な水と食べ物を確保することが基本です。具体的には、生水を飲まない、氷や生の魚介類を避ける、手洗いを徹底する、十分に加熱した食べ物を食べることなどが重要となります。

また、コレラは日本の感染症法で三類感染症に指定されており、診断した医師はすぐに保健所に届け出なければならないと定められています。学校保健安全法でも、感染の可能性がある期間は出席停止となります。



参考文献

南学正臣 et al.「内科学書2改訂第9版」(中山書店、2019年)68, 69ページ

小川聡 et al.「内科学書 = Standard textbook of internal medicine 2.感染性疾患 膠原病, リウマチ性疾患 アレルギー性疾患, 免疫不全症 呼吸器疾患」(中山書店、2013年)52, 53ページ

竹田美文「下痢原性大腸菌感染症」(国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト、最終閲覧日2025年8月16日)

配信元: Medical DOC

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