オールオン4で歯科用CT検査が必要な理由とは?そのほかの検査内容や費用の目安も解説

オールオン4で歯科用CT検査が必要な理由とは?そのほかの検査内容や費用の目安も解説

オールオン4の初診から治療完了までの流れ

オールオン4の初診から治療完了までの流れ

実際にオールオン4治療を受ける場合、初診から手術、そして治療完了までどのようなステップを踏むのか、その大まかな流れを理解しておくとよいでしょう。ここでは一般的な治療の流れを初診、検査、手術、術後のメンテナンスの段階に分けて解説します。

初診

初診(カウンセリング)では、患者さんのお口の状態や希望を詳しく伺います。具体的には、これまでの病歴や持病、現在抱えているお悩み(入れ歯が合わないなど)、治療に対する要望などを歯科医師がヒアリングします。また、お口の中を診察し、残っている歯や歯茎の状態を確認します。初診時点で簡単なレントゲン撮影を行い、大まかな骨の状態を確認することもあります。

治療の流れや概算の費用についても、この段階で説明があるでしょう。オールオン4が適切な選択肢か、ほかの治療法(総入れ歯や通常インプラント)との比較も含めて案内されるでしょう。疑問点や不安な点があれば遠慮なく質問してください。ここで得られた情報をもとに、次に行う精密検査の計画を立てます。

検査

初診のカウンセリング後、詳しい検査を行います。検査内容は前述したとおり、歯科用CT撮影やレントゲン撮影、口腔内の写真や型取り、血液検査など多岐にわたります。特に、歯科用CT撮影とレントゲン撮影は必須で、これにより顎骨量と形態や神経の位置を詳細に把握します。

また、口腔内の精密検査として、歯周病の検査や残存歯のむし歯の有無の確認も行います。歯周病にかかっている場合、そのままインプラントを埋入すると感染源になるため、まず歯周病治療を優先する必要があります。

これらの検査結果を総合して、患者さん個々に適した治療計画を立案し、確定します。検査後にあらためて歯科医師から結果の説明と治療方針の提案があるでしょう。そこでは、治療期間や費用の詳細見積もりも提示されるので、納得いくまで相談してください。

手術

治療計画に同意したら、いよいよオールオン4の手術(一次手術)に進みます。手術当日は局所麻酔または静脈内鎮静など麻酔で痛みや不安を抑えた状態で行います。歯茎を切開し、計画に沿って顎骨に4本のインプラント体を埋入します。インプラントを入れる穴をあけ、1本ずつチタン製の人工歯根を顎骨に固定していきます。

4本すべてのインプラント体を入れ終わったら、仮の義歯をその場で装着します。オールオン4では手術当日に固定式の仮歯を装着できるため、手術直後から見た目が回復し、会話も可能です。硬い食べ物は控える必要がありますが、やわらかい食事であれば当日から食べられるとされています。

一次手術後はインプラントと骨がしっかり結合するまで安静期間を設けます。これをオッセオインテグレーション期間と呼び、通常3~6ヶ月程度必要です。この期間中は仮歯で通常の生活を送りながら、インプラントが安定するのを待ちます。定期的に経過観察を行い、問題がないか確認します。

インプラントが十分骨と結合したら、二次手術を行います。二次手術は歯茎を少し開いてインプラントにアタッチメント(連結部分)を取り付ける処置です。その後、事前に型取りして製作した最終的な人工歯(ブリッジ)を装着します。仮歯との見た目や噛み心地の違いを確認し、必要に応じて調整してから本付けします。これでオールオン4の最終的な治療が完了し、新しい歯で快適に噛めるようになります。

術後のメンテナンス

治療が完了した後も、定期的なメンテナンスは一生続きます。オールオン4で手に入れた新しい歯を長持ちさせるためには、患者さん自身のケアと歯科医院での定期検診、クリーニングが欠かせません。インプラントはむし歯にはなりませんが、歯周病菌に感染するとインプラント周囲炎というトラブルでグラグラになってしまうおそれがあります。

インプラント周囲炎を防ぐため、歯科医院で定期検診を受け、噛み合わせのチェックやレントゲン撮影による評価を行います。また、定期検診時には、普段の歯磨きでは落としきれない汚れを除去してくれます。

日々のセルフケアも重要です。オールオン4の場合、ブリッジが固定されていますので、専用のデンタルフロスや細長いブラシを使って歯茎との隙間を掃除する必要があります。歯科衛生士から歯磨き指導もありますので、教わったとおりに毎日清掃しましょう。

このように術後のメンテナンスを適切に行うことで、オールオン4で入れた歯を長持ちさせることができます。

まとめ

まとめ

オールオン4は、わずか4本のインプラントで一列の人工歯を支えるため、患者さんの負担軽減や治療期間の短縮といったメリットがあります。一方で高度な技術を要する治療であり、安全に行うためには事前の検査が大変重要です。歯科用CT検査をはじめ、血液検査やアレルギー検査、レントゲン検査などを通じて全身状態と顎骨の状態を詳しく調べます。検査には時間も費用もかかりますが、安心してオールオン4に臨むためには大切です。信頼できる歯科医師と十分に相談し、不明点を解消したうえで治療に臨んでください。

参考文献

『インプラント治療について』(東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 口腔再生再建学分野 / 口腔インプラント科)

『歯科インプラント治療指針』(日本歯科医学会編)

『Prosthodontic Perspective to All-On-4® Concept for Dental Implants』(PMC)

『歯科情報 トピックスシリーズ2 【インプラント】』(宮城県歯科医師会)

『インプラント』(歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020)

『インプラント歯科』(昭和医科大学歯科病院)

この記事の監修歯科医師松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:1989年福岡歯科大学 卒業1991年松浦明歯科医院 開院2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任 / 資格:厚生労働省認定研修指導医日本口腔インプラント学会認定医ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医 / 所属学会:ICOI(国際口腔インプラント学会)日本口腔インプラント学会日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事日本顎咬合学会 会員 日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

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