「エコノミークラス症候群」は自宅でも?“大人”が注意すべき「4つの初期症状」

「エコノミークラス症候群」は自宅でも?“大人”が注意すべき「4つの初期症状」

血栓は、実際にどのような病気につながるのでしょうか?このセクションでは、下肢の深部静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」と、血栓が肺の血管を詰まらせる「肺塞栓症」について解説します。エコノミークラス症候群とも呼ばれるこの状態は、飛行機の中だけで起きるわけではありません。日常生活との意外な関わりを、ぜひ確認してみてください。

本多 洋介

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

シャワーだけで済ます入浴と隠れ血栓リスク:深部静脈血栓症とエコノミークラス症候群

このセクションでは、血栓が実際にどのような病態を引き起こすのかについて、具体的に解説します。特に「深部静脈血栓症」と「肺塞栓症」は、日常生活との関わりが深い疾患です。

深部静脈血栓症とはどのような病気か

深部静脈血栓症(DVT:Deep Vein Thrombosis)とは、主に下肢の深部にある静脈に血栓が生じる病態です。皮膚の表面近くを走る静脈(表在静脈)ではなく、筋肉の深いところにある静脈(深部静脈)に血栓ができることから、この名前がついています。

深部静脈血栓症では、下肢の腫れ、痛み、熱感、皮膚の色の変化といった症状が現れることがあります。ただし、症状が乏しいまま経過することもあり、知らないうちに血栓が形成されているケースも報告されています。こうした「症状がない血栓」が「隠れ血栓」と呼ばれる状態に相当します。

深部静脈血栓症のリスクを高める要因としては、長時間の臥床(床に寝たままの状態)、術後の安静、下肢の骨折、長距離移動時の長時間座位、脱水、肥満、妊娠、悪性腫瘍(がん)などが挙げられています。これらはいずれも、ウィルヒョウの3徴に基づいた説明が可能な要因です。

エコノミークラス症候群と肺塞栓症のリスク

深部静脈血栓症が注目されるのは、血栓が剥がれて血流に乗り、肺の血管を詰まらせる「肺塞栓症(PE:Pulmonary Embolism)」を引き起こす可能性があるからです。この深部静脈血栓症から肺塞栓症に至る一連の病態を「静脈血栓塞栓症(VTE:Venous Thromboembolism)」と総称します。

肺塞栓症は、突然の息切れ、胸の痛み、血圧低下、意識消失などの症状を呈することがあり、重篤な場合には生命に関わる病態です。長距離の航空機移動中に発症するケースが報道されたことから、「エコノミークラス症候群」という名称が広く知られるようになりましたが、これは航空機に限った話ではありません。

長時間の座位や不動が続く環境であれば、自宅での長時間のデスクワーク、長距離の車移動、あるいは震災時の避難車中泊なども、同様のリスクを持つ状況として位置づけられています。つまり、特定の入浴スタイルよりも、「動かない時間が長くなる生活習慣全体」が問題の本質であるということです。

大切なのは、血栓リスクを過度に恐れることなく、その本当の原因である「不動」「脱水」「運動不足」に正面から向き合うことです。シャワー浴が習慣になっている方が同時に抱えがちな生活スタイルの問題に気づき、改善の一歩を踏み出すことが求められます。

まとめ

シャワー浴が直接的に血栓を引き起こすという明確なエビデンスはありませんが、シャワーで済ませる生活に付随しがちな「長時間の不動」「脱水」「運動不足」は、ウィルヒョウの3徴に基づく血栓リスクと関わりがあります。入浴には血行促進やリラックス効果といったメリットがある一方、ヒートショックや溺水のリスクも存在します。大切なのは、自分の身体の状態に合わせた入浴習慣と、日常的な水分補給・身体活動の継続です。

参考文献

厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」

日本循環器学会「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」

東京都健康長寿医療センター「高齢者の入浴事故に関する情報」

配信元: Medical DOC

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