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被災ローンと「自然災害債務整理ガイドライン」
災害救助法の適用があった自然災害の影響で住宅ローンなどの個人ローンの支払いが困難になってしまった債務者は、「自然災害債務整理ガイドライン」(通称:被災ローン減免制度)を利用することで、破産手続きをすることなく、債務の減免を受けられる可能性があります。ガイドラインを利用した債務整理では、ブラックリスト(信用情報)に登録されず、登録支援専門家である弁護士の無料支援を受けることができます。詳しくはこちら→(ローンの支払いに困ったら「自然災害債務整理ガイドライン」の利用を考えよう【前編】)。
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自然災害債務整理ガイドラインによる債務減免の効果
自然災害債務整理ガイドラインを利用した場合、今、抱えているローンや自分の預貯金、家、土地などの財産はどうなるのでしょうか。国が、令和6年能登半島地震・奥能登豪雨の被災者向けに作成したリーフレット(2025年作成)で示しているモデルケースを紹介します。
モデルケース1

この夫婦の場合、合計1350万円の住宅ローン・消費者ローンがありましたが、住宅ローン300万円のみに減らすことができ、手元に預貯金300万円、義援金・家財保険金150万円、土地(300万円相当)を残すことができています。

モデルケース2

この飲食店経営者は、1000万円の個人事業ローンのうち700万円が免除となり、手元に預貯金350万円、義援金10万円、自動車などを残すことができています。

自然災害債務整理ガイドラインの周知を
自然災害債務整理ガイドラインは、東日本大震災をきっかけに、弁護士らの提言から誕生した制度です。東日本大震災当時は「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」(個人版私的整理ガイドライン)という名称で、東日本大震災限りの臨時制度でした。その後、ほかの災害でも利用できるような恒久的な制度が要望され、「自然災害債務整理ガイドライン」が誕生しました。本格的に適用されたのは、2016年4月の熊本地震からです。さらに、2020年から世界的に蔓延した新型コロナウイルス感染症の各種影響によって債務が支払えなくなった個人に対しても、自然災害債務整理ガイドラインを適用できるよう運用が拡張されました。
しかしながら、「自然災害債務整理ガイドライン」や通称名である「被災ローン減免制度」は、平時から耳にする機会はほとんどありません。災害後に様々な困難が襲いかかるなかで、この制度を新たに認知することも困難です。本当にこの制度が必要な被災者のために、災害後は是非このガイドラインの周知に多くの方の協力をお願いしたいと考えています。特に、債権者である金融機関や公的機関側から、積極的に債務者に制度を説明し、その利用を促すことが求められています。
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<執筆者プロフィル>
岡本正(おかもと・ただし)
弁護士/気象予報士/博士(法学)
1979年、神奈川県出身。慶応義塾大卒。銀座パートナーズ法律事務所。内閣府出向や東日本大震災での復興支援経験を活かし「災害復興法学」を創設。新潟大学研究統括機構客員教授、岩手大学地域防災研究センター客員教授、武蔵野大学客員教授、防災科学技術研究所客員研究員、人と防災未来センター特別研究調査員などを歴任するほか、慶応義塾大学などで多数の講座を担当。著書に「被災したあなたを助けるお金とくらしの話 増補版」(弘文堂)。
https://www.koubundou.co.jp/book/b593021.html
