
「耳に開けたピアスの穴から白い糸が出てきて、それを引っ張ったら失明した。実はその糸は視神経だった」。昭和から平成にかけて広くささやかれ、特に中高生を恐怖に陥れた有名な都市伝説「耳から白い糸」。医学的な根拠がないデマだとわかっていても、一度聞いたら忘れられない不気味さがある。


2026年6月現在も、SNSやWeb上で根強い人気を誇るオカルトや怪異の数々。そんな有名な噂からマイナーな怪談までをユーモアたっぷりに昇華させ、Xや投稿サイトで話題を集めているのが、漫画家・藤やすふみ(@y_asufumi100)さんの短編シリーズ『都市伝説に求める女』だ。今回は作中から「耳から白い糸」をテーマにしたエピソードを紹介するとともに、誰もが一度はおびえたこの都市伝説に対する思いを作者に聞いた。
■ピアスの糸を抜いた男を襲う暗黒
物語の主人公は、念願のピアスを開けたばかりの1人の若い男・四明君。ある日、彼は友人から「耳から何か出てますよ」と、ピアスの穴から白い糸のようなものが飛び出していることを指摘される。
それを見た友人は「耳から視神経が出るって話もあるよな」と不気味な都市伝説を口にするが、四明君は「驚かすなよ」と笑い飛ばした。そんなばかげた噂を信じるわけがないと、彼は耳元に触れ、ちゅうちょすることなくその白い糸を指先で引き抜いてしまう。
しかし次の瞬間、四明君の視界はいきなり真っ暗闇に包まれた。何も見えなくなった自らの異変に、友人が語った「失明の話」が脳裏をよぎり、「ヤバい、本物の視神経だったのか!?」と激しい恐怖と焦燥感に駆られる四明君。このあと彼を待ち受ける予想外の真実とは。ホラー映画のような緊迫感から一転して描かれる、ユーモアあふれる結末への振りがおもしろい。
■誰もが抱いた「恐怖の記憶」を極上のエンタメに
医学的に見れば、耳たぶに視神経が通っているはずもなく、白い糸の正体は衣服の繊維や皮脂などの汚れであることがほとんどだ。しかし、情報が限られていた時代の子どもたちにとって、この噂はあまりにもリアルな脅威だった。
この都市伝説を初めて知ったときの感想について、藤やすふみさんは当時を振り返り「これを聞いた当時は子どもだったので、真実だと思い非常に怯えました。そして『絶対にピアスを開けないぞ』と心に誓いました」と語ってくれた。
幼いころに誰もが抱いた恐怖を原動力に、ホラーとクスッと笑えるギャグを融合させた魅力的な短編を描き続ける藤やすふみさん。蒸し暑い夏の夜、ただ怖いだけではない、ユーモアのスパイスが効いた奇妙な世界をのぞいてみてはいかがだろうか。
取材協力:藤やすふみ(@y_asufumi100)
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