江川卓、待望の監督論に「やったら上手」 大谷翔平とは「“手を離れた瞬間ミットに入るボール”があっても…」<レジェン堂>

江川卓、待望の監督論に「やったら上手」 大谷翔平とは「“手を離れた瞬間ミットに入るボール”があっても…」<レジェン堂>

「プロ野球 レジェン堂」より
「プロ野球 レジェン堂」より / ※提供画像

7月21日に放送された「プロ野球 レジェン堂」(毎週火曜夜10:00-10:55、BSフジ)に、前週から引き続き江川卓が登場。前回の放送では収まりきらなかったプロ入り後のエピソードを語り、ライバル・西本聖との関係や長嶋茂雄、王貞治両監督の指導、現役引退を決意した背景などを明かした。さらに大谷翔平選手との対決を想像する一幕も。

■江夏豊と西本聖を意識した現役時代

番組冒頭では、江川から見た往年の名投手たちのエピソードが立て続けに披露された。過去の放送回で遠藤一彦は江川に投げ勝ったことで自信がついたと語っていたが、江川も遠藤のフォークボールを「速くて小さく落ちる」と高く評価。大きな落差ではなく、スピードを保ったまま鋭く変化する点にすごさがあったと振り返った。

また阪急ブレーブス(現オリックス・バファローズ)の3年連続日本一に貢献した山口高志のストレートについては、「地から這い上がってくるような感じがあった」と表現。江川自身が投げる高めのストレートはホップするような軌道だったが、山口の球はそれとは全く異なる。「こういうボール投げたいな」と感じたという。

江川が強く意識していた投手として名前を挙げたのは江夏豊だ。試合で投げ合った経験はなかったものの、通算206勝やシーズン401奪三振という圧倒的な記録を前に“追い越すのは難しい”と感じていたことを明かした。

一方、現役時代のライバルとして意識していたのは読売ジャイアンツのチームメートでもあった西本聖。江川は「数字で負けられない」と強く意識していたという。そんな2人を巡る忘れられない出来事が、1983年の日本シリーズ第6戦だった。巨人が3-2とリードして迎えた9回裏、肉離れを抱えていた江川は「足がどうなってもいいから投げよう」と決意を固めていたそう。

しかし、首脳陣は江川から西本への交代を決断。西本は9回表に準備を告げられ、わずか5球ほど投球練習をしただけでマウンドへ上がることに。しかし折悪く同点に追い付かれ、延長10回裏にサヨナラ負けを喫した。

交代を告げられた瞬間について、江川は「(気持ちが)スーッと引きましたね。“この日本シリーズ終わった”と」と回想。当時の首脳陣がどのような意図で西本への継投を決めたのかは、江川にもわからないままだという。

■監督としての長嶋茂雄と王貞治の厳しい指導

江川は現役時代、長嶋茂雄監督と王貞治監督のもとでプレーしている。「おふたりとも厳しかったです」と振り返り、監督自身が現役時代に輝かしい実績を残してきたからこそ「選手ができないことが歯がゆかったんだと思います」と分析した。

長嶋監督時代には、負け投手になった翌日に厳しい練習が待っていたという。江川は「僕が負け投手になると、次の日内野ノックをさせられるんですよ。それがきつかったですね」と告白。一方の王監督は、力を温存するような投球を一切認めず「最初から力を入れろ」と徹底していたと明かす。

現役時代は王との会話も少なかったという江川。15年以上前、偶然同じ店で居合わせた王が「ハイボール」と注文した際に酒が入っていた江川は「高めが好きなんですね」と冗談を飛ばした。すると王から返ってきたのは「君は冗談も言うんだね」という言葉。それほど、監督と選手としての明確なラインが存在していたことがうかがえる。

江川の現役時代後半には桑田真澄、斎藤雅樹、槙原寛己といった後の巨人を支える投手たちが入団した。桑田とは2年間をともにしていたこともあり、「守備が上手かった」と評価。さらに練習を終えたら必要以上に球場へ残らないという考え方も江川と似ていたそう。

当時は球場に長くいる選手ほど“努力している”と評価される風潮もあったが、江川は練習が終わるとすぐに帰っていた。桑田にも「明日先発だったら先に帰っていいからな」と声をかけていたと回顧。槙原については人懐っこい性格、斎藤については真面目で純粋な穏やかな性格だったと、それぞれの人柄を振り返った。

■大谷翔平との“見えない対決”

番組後半では、江川が大谷選手について語った。対戦への興味を聞かれると、「(大谷と)やってみたいですね」と率直に回答。「大谷くんの長所は、あの身長でバットが内側からうまく出ること」と、長身ながら内角の球にも対応できるスイングを評価する。

徳光和夫から「高校時代の江川、プロ3年目(20勝)の江川、大学時代の江川、どの江川で対決したら大谷を抑えられますか」と質問されると、「“手を離れた瞬間ミットに入るボール”があっても、彼は“消えるようなスイング”をするので互角ですね」と回答。徳光が「面白いな」と笑顔を見せると、遠藤玲子アナも「“見えない対決”ですね」と反応した。

さらに徳光がいまだに納得できていないという江川の引退理由についても、本人が肩の状態が思わしくなかったため「次の年やったら9勝10敗(1年目の成績)を下回る」と考えたことが理由だったと胸中を明かす。実はプロ2年目の時点から「10勝を切ったら引退する」と決めていたというから驚きだ。

現役最終年は13勝5敗、防御率3.51という好成績を残していたが、5月にはすでに引退を決意していたという江川。最後のシーズンだと覚悟して一試合一試合に臨んだことが、結果的に充実した成績につながったと振り返った。

さらに話題は、“江川監督”の待望論にまで及ぶ。徳光から「どうして監督やらないんですか?」と聞かれた江川は「七不思議ですね」と笑いつつ、「選手をまとめて指導していくのが性に合っていないのかもしれない」と自己分析。「監督の話はあったでしょ?」と追及されると「それはノーコメントですね」とかわしながら、「でも、ひとつだけ言えるのは(監督を)やったら上手だと思います」と自信をのぞかせる。

遠藤や山口の球質を短い言葉で的確に表現し、大谷の打撃と投球も感覚だけでなく技術面から分析する姿には長年解説者として支持されてきた理由が表れていた。好成績の中で引退を選び、監督就任については多くを語らない江川。華々しい記録だけでなく、自らの美学に従って進退を決めてきたからこそ、その言葉には今なお多くの野球ファンを引き付ける力があるのだろう。

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