
自身の発達障害に関する体験や特性を発信している春野あめ(@AmeHaruno)さんが、自身の経験をもとに描いた『発達障害が理解されにくいワケを自分で考えてみた』。実習中、「はかりの上に物を置かないでね」と注意されただけで「責められた」「攻撃された」と受け止め、涙が止まらなくなった出来事を描いた「case.04 ちょっとした言葉を攻撃と感じる」を紹介するとともに、本作に込めた思いを聞いた。
■理解されにくい当事者の思考



発達障害の特性によって繰り返してしまう失敗や、そのとき頭の中で何が起きているのかを漫画で描いた本作。「なんで同じ失敗を繰り返すの?」「わざとやっているの?」と受け止められがちな発達障害だが、当事者はそのたびに傷つき、自分を責めてしまうことも少なくない。そうした経験が積み重なることで、「自分はダメな人間だ」と思い込んだり、怒りとして表に出てしまったりするケースもあるという。
制作について春野さんは、「『トラブルの際にそのような言動をしたのはなぜなのか?当事者の思考回路を知りたい、知って納得できると周りとの関係も変わっていくのでは…?』という思いから始まりました」と振り返る。
また、「私自身、自分が周りの人たちを振り回した経験を包み隠さずに描くことは勇気がいりましたが、『発達障害についてもっと詳しく描きたい』『いろんな人に知ってほしい』という気持ちがあったので、引き受けることにしました」と制作への覚悟も明かした。
■実例を通して改善策を探る
本書では、実際に経験した対人トラブルを取り上げながら、その当時の思考回路や発達障害の特性を解説。「どうすれば自分をコントロールしやすくなるのか」「周囲と調和しやすくなるのか」といった視点から、具体的な工夫や考え方、支援窓口まで紹介している。
「専門的な部分に関しては、最終的に臨床心理士・心理学博士である中島美鈴先生にご監修いただきました。要所要所で中島先生のコラムも収録されています!」と話すように、実例と専門的な解説を組み合わせた構成も本書の特徴である。
■「攻撃された」と感じてしまうのはなぜ?
春野さんは発達障害と診断され、自身の特性を理解し、二次障害とも向き合えるようになるまで約8年を要したという。本作では、仕事中に「適当にほかのことやってて」と言われ、その言葉を文字どおり受け取ってYouTubeを見てしまい、「さすがにそれは…」とあきれられたエピソードも紹介。「適当に」「ほかのこと」といった曖昧な表現の意図をくみ取る難しさを描いている。
また、実習中に「はかりの上に置かないで!」「精密機械だから置きっぱなしにするのはよくないんだよ」と注意された際には、相手は注意喚起のつもりでも、自身は「攻撃された」と感じて泣いてしまったという。「ちょっとした言葉を攻撃と感じる」背景まで丁寧に掘り下げるほか、「人との距離感がおかしい」「融通がきかない」「自覚なく人を不快にさせてしまう」「嘘をつく」など、ASDやADHD傾向に関する13のケースを実例とともに紹介している。
■自分を知ることが第一歩
最後に春野さんは、「他人とは比べられないので『生きづらい』ってどれくらいなのか、『努力(自分なりに)や我慢』をしている人も多いと思うのですが、もし悩んだらすぐに心療内科に行ってみてください!発達検査を受けられるなら受けてみてください!でも、診断はあってもなくてもいいです!」と呼びかける。
そのうえで、「まず自分にはどんな特性があるのかを知ると、どこでつまづいてきたのか、どんどん芋づる式にわかってくるはずです」「今回の漫画は、自己理解のちょっとした足しにしてもらえたらうれしいです」とメッセージを寄せた。自分自身を理解するきっかけとしても、多くの人に手に取ってほしい一冊である。
■取材協力:春野あめ(@AmeHaruno)
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