
小学校低学年で見知らぬ男性から痴漢被害に遭い、小学校高学年では母の再婚相手からも恐怖を味わった――。漫画家・魚田コットンさん(@33kossan33)が自身の体験をつづった「スカートの呪いが解けるまで」は、幼少期から積み重なった性被害の記憶と、その傷が大人になった今もなお心に残り続けている現実を描いた自伝漫画である。
※本作にはセンシティブな表現があります。閲覧には十分ご注意ください。
■幼いころから抱えていた違和感



魚田コットンさんは、園児のころからスカートやフリルの服に苦手意識を抱いていた。ごっこ遊びにもなじめず、小学生になって短パンで登校すると「魚田くん」とからかわれることもあった。それでも祖母や母親は「かわいい女の子」であることを求め、本人の気持ちとのズレは少しずつ積み重なっていく。
■誰にも受け止めてもらえなかった被害
小学校低学年のころ、友人と訪れた健康ランドのゲームコーナーで、見知らぬ男性から尻を触られる被害に遭う。勇気を出して母親へ打ち明けたものの、返ってきたのは「ホントに触られてた?」「ちょっと触られただけやろ」という言葉だった。その一言に「わざわざ言うことじゃなかった?」と自分を責め、被害を口にできない環境が形作られていく。
さらに小学校5年生のある夜には、母の再婚相手が突然布団へ入り込んできた。この出来事は生涯消えないトラウマとなり、その後も義父は母親のいない隙を狙って魚田さんへ接触を繰り返した。
■「被害者は悪くない」と伝えたい
本作を描くきっかけについて魚田さんは、以前から自身のつらい経験を漫画にしたいと考えていたと振り返る。ブログで公開していた「母の再婚相手が色々とアウトだった話」が書籍化されたことに加え、同じような経験をした読者から寄せられたコメントやDMが背中を押したという。
「結婚して子どもを育てている私の姿が希望になったと言っていただけたことが、逆に私の希望になりました」と語り、「こういう思いしたことあるよね」「つらかったよね」「でも、自分たちは全然悪くないんだよ」というメッセージを届けたい思いで本作を描いたと明かした。
また、「こんな重くてつらいだけの話を描いて、誰も楽しい気持ちにならないのに……」と葛藤しながらも、声を上げられない人の思いを代弁したい気持ちが創作の原動力になったという。
■傷を抱えたまま親になって
書籍化にあたっては、できるだけ多くの人が手に取りやすい作品を目指し、これまでより表現を抑えながら制作した。一方で、当時感じていた恐怖や葛藤を思い出し、それを言葉へ落とし込む作業には特に苦労したという。
「性的な目で見られること」は、周囲が思う以上に大きなストレスだと魚田さんは語る。本作では露骨な性被害だけでなく、日常の中で積み重なる「こんなことも本当は嫌だった」という経験も含めて描き、「そういう目に遭う子どもを減らしていきたい」という思いを込めた。
現在も、娘が「スカートを履きたい」と言うたびに思わず「ダメ!」と言ってしまうという魚田さん。神経質と思われても構わない――。たった1人でも子どもを性的な目で見る人がいる限り、その不安は簡単には消えないのである。
■取材協力:魚田コットン(@33kossan33)
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