“あれ”が「糖尿病」を招く? 野菜ジュースを飲む際の3つの工夫【医師監修】

“あれ”が「糖尿病」を招く? 野菜ジュースを飲む際の3つの工夫【医師監修】

「野菜ジュースは糖尿病リスクを高めるのか?」という疑問に、研究データをもとに答えます。果物をそのまま食べることとジュースの違いについても整理します。
糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度が慢性的に高くなる病気です。2型糖尿病では、インスリンの分泌不足や機能低下によって血糖値のコントロールが難しくなります。初期には自覚症状がほとんどないことも多く、健康診断で初めて指摘される方も少なくありません。
英国の医学誌『BMJ』に掲載された研究(Muraki I et al., 2013)では、果物をそのまま食べることは2型糖尿病リスクの低下と関連していた一方で、フルーツジュースの摂取はリスク上昇との関連が報告されました。
この研究はフルーツジュースを対象としたものですが、果汁の割合が高い野菜ジュースについても同様の視点で考える必要があるかもしれません。
ただし、特定の食品を食べたから糖尿病になるわけではありません。遺伝的要因や運動不足、肥満などさまざまな要因が関与するため、食生活全体を見直す視点が大切です。

井筒 琢磨

監修医師:
井筒 琢磨(医師)

2014年岩手医科大学卒
2016年仙台市立病院循環器内科
2019年江戸川病院糖尿病・代謝・腎臓内科
2023年岩手県立中央病院糖尿病・内分泌内科 兼 救急診療科
2023年医療法人社団啓愛会理事
2026年孝仁病院美希病院
所属学会
日本医師会 産業医
日本循環器学会 循環器専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内科学会 総合内科専門医

糖尿病リスクを下げるための野菜ジュースとの付き合い方

野菜ジュースにリスクがあるからといって、すべてを避ける必要はありません。このセクションでは、糖尿病リスクを踏まえたうえで、野菜ジュースをうまく活用するための考え方を紹介します。

野菜ジュースを選ぶときのポイント

糖質を意識して野菜ジュースを選ぶ際には、まず成分表示を確認することが重要です。注目すべき項目は、糖質量(または炭水化物量)と原材料名です。原材料名は使用量の多い順に表示されているため、果汁や砂糖が先頭に来ている製品は糖質が多い可能性があります。

野菜が中心で果汁の少ないトマト系ジュースや、無添加で食塩不使用のものは、糖質量が抑えめな傾向があります。また、「食物繊維入り」や「まるごと搾り」などと記載されている製品は、食物繊維が残っている場合があり、血糖値の上昇が緩やかになる可能性があります。製品ごとに成分が異なるため、ラベルをしっかり読む習慣をつけることが大切です。

飲む量とタイミングを工夫する

野菜ジュースを飲む量とタイミングを工夫することで、糖質の影響を軽減できる場合があります。1日の摂取量は1杯(150〜200ml)程度を目安とし、飲みすぎを防ぐことが基本です。また、食事の前に単独で飲むよりも、食事と一緒に摂取するほうが血糖値の急上昇を抑えやすいといわれています。

さらに、朝食の代わりに野菜ジュースだけを飲む習慣は、栄養バランスの偏りや空腹感の早期再来につながる可能性があります。野菜ジュースはあくまで食事の「補助」として位置づけ、野菜・たんぱく質・炭水化物をバランスよく食べる食習慣を土台にすることが大切です。

糖尿病が気になる方が注意すべき生活習慣

野菜ジュースの摂取だけが糖尿病リスクを左右するわけではありません。糖尿病リスクに関わる生活習慣として、食事全体の糖質・カロリーバランス、身体活動量、睡眠の質、ストレス管理などが挙げられます。

特に、食後に軽い有酸素運動を行うことは、食後の血糖値を下げる効果が期待できると報告されています。また、主食の食べすぎ、清涼飲料水の習慣的な摂取、アルコールの過剰摂取なども血糖値管理に影響を与えます。野菜ジュースのリスクだけに目を向けるのではなく、食生活全体を見直すことが、糖尿病予防の観点から有意義です。体重増加や強いのどの渇き、頻尿などの症状がある場合は、早めに内科や糖尿病内科に相談されることが望ましいでしょう。

まとめ

野菜ジュースは「手軽に野菜を摂れる食品」として広く親しまれていますが、糖質量の多さ、食物繊維の損失、血糖値への影響といった点には注意が必要です。特に糖尿病のリスクが気になる方や、すでに血糖値が高めの方は、製品の選び方や飲む量・タイミングを見直すことが大切です。野菜ジュースを生野菜の完全な代替品と捉えるのではなく、食事の補助として位置づけながら、バランスのよい食生活を心がけることが根本的な解決につながります。気になる症状や健康への不安がある方は、内科や糖尿病内科への相談をご検討ください。

参考文献

厚生労働省「健康日本21(第三次)」

農林水産省「「食事バランスガイド」について」

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「糖尿病」

厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」

国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病の食事のはなし(基本編)
配信元: Medical DOC

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