
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、月刊ガンガンJOKERに掲載された読切作品『入れ替わりモブライフ』(原作:比企能博、 作画:飛口芽衣)をピックアップ。
漫画を手掛けた飛口芽衣さんが6月23日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、2,000件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、原作を手掛けた比企能博さんと飛口芽衣さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
■好きな人とイケメン親友の中身が入れ替わり

主人公の田中穂先は、親友であり幼馴染みの小久保蓮が、イケメンで昔から女子からモテて、主人公みたいな存在であることから自分はいつも脇役だと感じていた。そんな中、穂先はクラス一の美人で、唯一蓮に興味が無さそうな高嶺まりかに思いを寄せていた。
ある時、図書室に本を運んでいた穂先は、そこにまりかがいることに気づく。図書委員として仕事をしていたまりかは、積み上げられた本を運び転びそうになる。穂先と一緒にいた蓮は咄嗟に助けるが、その際二人は頭をぶつけてしまい、あろうことか中身が入れ替わってしまう。
まるで小説や映画の主人公たちのような二人を前に、改めて自分は脇役だと認識する穂先。二人が元に戻れるまで、主に中身がまりかの蓮をフォローすることに。体を張って蓮(まりか)をフォローし続ける穂先は、その過程で改めてまりかのことが好きだと認識する。
しかし、蓮とまりかが二人で仲良さげに話している姿を見て、二人はもう付き合っていると勘違いした穂先は、
「最初から思ってたけど俺いらなくね!?」「俺のこと途中から邪魔だと思ってたっしょ!」
などと発言。すると蓮(まりか)に思い切りビンタされ、蓮(まりか)は涙を浮かべながら「ばかにしないで……っ」と言い残し、その場を去ってしまう。
そして放課後、穂先は自分の気持ちをまりか本人に伝える決心をしたことを、蓮(見た目はまりか)に伝えるが…?
作品を読んだ読者からは、「新しい!めっちゃおもろかった!」「読んでて楽しかった、お幸せにね」「めっちゃいい作品だった」など、反響の声が多く寄せられている。
■原作・比企能博さん「ある種自分を救うために考えた話」、漫画・飛口芽衣さん「こだわった点は、やはり女の子の可愛さ」

――『入れ替わりモブライフ』はどのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
比企能博:かなり前に思いついたネタなのですが、当時は自分の恋愛が主人公の穂先みたいに好きな人と友達が結ばれるシチュエーションが連続的に続いており、ある種自分を救うために考えた話です。
単に創作の中でハッピーエンドを創るというよりは、恋愛で傷ついてやさぐれそうになった時に「それでも優しい奴の方がカッコイイじゃん」って言ってあげれる様な作品を創りたいと思って書きました。
――『入れ替わりモブライフ』の作画を担当することになったきっかけや、その際のお気持ちなどをお教えください。
飛口芽衣:きっかけをお話ししますと、とても長くなってしまいますが…!
元々、比企さんのことは私が一方的に存じ上げておりました。確か私が21歳の頃、とある漫画賞を受賞された作品を拝読し、「とんでもなく面白くて、話のテンポも素晴らしい。こんな漫画を描ける方がいらっしゃるのか」と衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。何十回も読み返しました。
それから数年が経った頃、「作画を募集しているのですが、いかがでしょうか」というお話をいただきました。「原作は比企さんです」と伺い、こんな偶然があるのかと驚きながらも、2年間必死に頑張らせていただきました。しかし結果は上手くいかず、そのお話は流れていってしまいまったんです。
せっかくご縁をいただけたにもかかわらず、ご期待に応えられなかった焦燥感で、数ヶ月間落ち込み続けていました。
そんなある日、比企さんご本人から「新しく飛口さんに作画をしてほしい話がある!」という熱いメッセージをいただきました。一度ご縁が途切れてしまったにもかかわらず、再びご連絡をいただけたことが、とんでもなく嬉しくて…!こうして無事に二人で一つの作品を作らせていただきましたガンガンJOKER様には、感謝してもしきれません。このような貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。
――今作を書いたうえで、特に心がけた点や大切にしていたことなどをお教えください。
比企能博:プロットに仕掛けのある話なので、プロット先行になり、キャラクターの感情が蔑ろにならないように気をつけました。特に穂先が立ち上がる流れはご都合主義にならないように何度も書き直した記憶です。キャラクターの感情は、飛口先生の作画が素晴らしく、多くの方に伝わったのかなと思っています。感謝感謝。
――本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
飛口芽衣:こだわった点は、やはり女の子の可愛さです。
ヒロインは高嶺の花という設定ですので、美人になるよう特に心がけました。睫毛もバッシリと強調しています(笑)。作中ではほとんど中身が親友だったにもかかわらず、大柄な態度を取られても可愛らしく見えるように描いたつもりです。あんな可愛い子にいきなり肩を組まれたら、主人公はびっくりどころではないですよね(笑)。高校生というピュアな年齢だからこそ、たまったものではなかったでしょうね…(笑)
もう一つ注目してほしいのが、入れ替わった後の仕草や表情です。態度や表情管理に細かく気をつけました。大柄な身体の親友(中身はヒロイン)が女の子らしい仕草をしていたり、美人なヒロイン(中身は親友)が大きめの態度や近い距離感を取っていたりするところが、個人的にはとても楽しいポイントです。ぜひそこにも注目していただけると嬉しいです!
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
比企能博:シーンとしては、「…穂先はこの前女子たちにキモがられてたな」から始まる一連の流れが好きです。穂先の取ったキモがられる行動は、まりかを守る為で、それがカッコイイ。表面的にはネガティブだけど、本質は美しいシーンが書いていても読んでいても好きなので。
セリフとしては、「どんなにしょうもない自分でも人生の主役から逃げちゃいけない。だって俺達は誰とも入れ替わる事は出来ないから」という台詞です。このセリフは飛口先生のネームを読んで閃いたセリフで、今作の設定とも合っていてお気に入りです。
飛口芽衣:個人的に一番気に入っているシーンは、主人公がヒロインへの想いを再認識する場面です。
主人公の自宅で勉強会をしている際、親友(外見はヒロイン)がヒロインから届いたメッセージを見て「てへっ」と照れているところは、本当に可愛すぎて…!中身が親友(男)だと分かっていても、思わず落ちてしまいそうな可愛さでした。
次の場面で、バスケの授業に変わった後の『困ったね~…』と言いたげなヒロイン(外見は親友)の微笑みも最高に可愛かったです。そこで主人公が「外見も内面も、僕は彼女のことが好きなんだ」と改めて実感する流れが、とても胸に刺さりました。こういうシーンにキュンキュンしてしまいますね。
――作品を創作される際、ストーリーや登場キャラクターなどはどのようなところから着想を得ることが多いですか?
比企能博:作品を観たり読んだりした時や実生活の中で感じた強い感情を元に創るのが好きです。ただ言いたい事がストーリーやキャラクターとミスマッチになる事も多く、いつも苦労しています。
――漫画を描く際に大切にしていることや意識していることはありますか?
飛口芽衣:一番大切にしているのは、アニメを思い浮かべながら描くことです。これはネームの段階で考えるようにしており(ネームとは、言わば設計図のようなものです)、頭の中で自分の描いたネームをアニメーションとして動かしながら構想を練り、そこから考えたカメラワークや見せ方などを組み合わせる形で、漫画に仕上げていっています。
――今後の展望・目標をお教えください
比企能博:次は面白い漫画連載を創りたいです。
飛口芽衣:作画担当として画力の向上を引き続き頑張りつつ、もしご縁があるならまた比企さんと作品を作れたら嬉しいです。そして色んな人が楽しめるような作品を作りたいです!
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
比企能博:『入れ替わりモブライフ』読んでいただきありがとうございます(まだの方はぜひ)。次は漫画連載で楽しんでもらえるよう日々頑張っております。名前を見かけた時は、一読してもらえると嬉しいです。
また、YouTubeアニメ『混血のカレコレ』のストーリー編と呼ばれる回の執筆も頑張っているので、良ければ観てください。
飛口芽衣:ここまでお読みいただき、ありがとうございました。引き続き読者の皆さまに楽しんでいただける様な作品作りに励んでまいりますので、これからも是非読んでいただけると嬉しいです!

