「両鼻を同時にふさいでかむ」のはNG?中耳炎を招く“原因”と「初期症状」

「両鼻を同時にふさいでかむ」のはNG?中耳炎を招く“原因”と「初期症状」

鼓膜の破裂だけでなく、鼻を強くかむ行為は中耳炎のリスクを高める原因にもなります。急性中耳炎や滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)など、種類によって症状や気づきやすさも異なります。なぜ鼻かみが中耳炎を引き起こすのか、そのメカニズムと繰り返す場合に起こりうる問題についてご説明します。

大津 和弥

監修医師:
大津 和弥(医師)

三重大学医学部卒業。三重大学附属病院で研修。市立四日市病院、三重大学附属病院などに勤務後、国立がんセンター東病院研修。三重大学附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 講師を務め、小松病院で一色信彦、田邊正博の音声外科医師の指導の下音声外科手術を研鑽。市立ひらかた病院耳鼻咽喉科部長、市立ひらかた病院耳鼻咽喉科主任部長、音声外科センター長などを歴任。大阪医科薬科大学臨床教授。現在は大津耳鼻咽喉科・ボイスクリニック 院長。

鼻を強くかむことで高まる中耳炎リスク

鼓膜の破裂だけでなく、鼻を強くかむことは中耳炎のリスクを高めることでも知られています。特に幼い子どもだけでなく、大人でも繰り返し発症するケースがあります。このセクションでは、中耳炎がどのように発症するのか、そのメカニズムを解説します。

中耳炎が起こる仕組み

中耳炎とは、鼓膜の内側にある中耳と呼ばれる空間に炎症が起きた状態のことです。中耳炎にはいくつかの種類がありますが、鼻をかむことと関わりが深いのは「急性中耳炎」と「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」です。
急性中耳炎は、細菌やウイルスが中耳に侵入して炎症を起こす状態です。前述のとおり、鼻をかむときに発生する強い圧力によって、鼻腔内の細菌を含んだ分泌物が耳管を通じて中耳へと押し込まれることがあります。これが急性中耳炎の主な原因の一つとされています。特に風邪や副鼻腔炎(副鼻腔に炎症が起きた状態)の最中は鼻腔内の細菌量が増加していることが多く、強くかむことで一気に中耳へ送り込まれてしまうリスクが高まります。
滲出性中耳炎は、中耳内に液体(滲出液)がたまる状態であり、耳管の機能が低下していることが背景にある場合が多いです。鼻腔内の炎症が続くことで耳管の通りが悪くなり、中耳内の換気が不十分になることが関係しています。痛みが少なく気づきにくい点が特徴であり、難聴や耳のつまり感などが主な症状として現れます。

繰り返す中耳炎が引き起こす問題

中耳炎は一度発症するだけでも十分つらい経験ですが、適切に治療されなかった場合や繰り返し発症した場合には、より深刻な問題へと発展することがあります。
慢性中耳炎は、急性中耳炎が適切に治癒せずに長期化した状態です。鼓膜に穴があいたままの状態が続き、耳だれ(耳の穴から液体が出る状態)や難聴が持続します。また、慢性的な炎症によって中耳の骨(耳小骨)が傷つくと、音を伝える機能が低下し、難聴がより深刻になることがあります。
さらに、「真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)」という特殊な中耳炎では、鼓膜の一部が内側に陥没して袋状になり、そこに角質(皮膚の細胞のかけら)がたまることで周囲の組織や骨を少しずつ壊す(吸収する)ようにして拡大していきます。 この状態は手術による治療が必要となる場合が多く、放置すると内耳や顔面神経にまで影響が及ぶこともあります。こうしたリスクを避けるためにも、中耳炎の早期発見と適切な治療が欠かせません。

まとめ

鼻を強くかむという何気ない行為が、鼓膜の破裂や中耳炎といった深刻な耳のトラブルにつながる可能性があることをご理解いただけたでしょうか。正しいかみ方を身につけることは、耳と鼻の健康を守るための大切な一歩です。風邪や鼻炎の症状が長引いている場合や、耳のつまり感・聞こえにくさを感じている場合は、ぜひ耳鼻咽喉科への受診をご検討ください。日常の小さな習慣の積み重ねが、耳と鼻の健康を長く守ることにつながります。

参考文献

慶應義塾大学病院 聴覚センター「中耳炎」 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳の病気」
配信元: Medical DOC

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