「糖尿病」の人は要注意!お風呂での“突然死”を招く「見逃しやすい落とし穴」

「糖尿病」の人は要注意!お風呂での“突然死”を招く「見逃しやすい落とし穴」

「お風呂に入るほうが身体によい」というイメージは広く知られています。しかし、入浴には見過ごせないリスクも存在します。このセクションでは、日本で毎年報告されている入浴中の死亡事故の現状と、急激な温度変化が血圧を乱高下させる「ヒートショック」について取り上げます。入浴の怖さを知ることで、より安全な入浴習慣を選ぶための判断材料になります。

本多 洋介

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

シャワーだけで済ます入浴と突然死の罠:入浴中の死亡事故の実態

このセクションでは、入浴そのものが持つリスクについて解説します。「お風呂に入れば健康によい」という一般的なイメージがある一方で、入浴が引き起こすリスクについても正確に知っておく必要があります。

入浴中に起こる死亡事故の現状

日本では、入浴中の死亡事故が毎年一定数報告されています。厚生労働省や消費者庁の調査によると、入浴中の溺死や溺水による死亡者数が、近年では交通事故による死亡者数の2〜3倍で推移していると指摘されています。これは決して軽視できない数字です。

入浴中の死亡事故において、最も多い原因の一つとされているのが溺死です。特に高齢者や身体機能が低下した方(ADLが落ちた方)においては、浴槽内で意識を失ったり、立ち上がろうとして転倒したりすることで、溺水に至るケースが報告されています。

こうした事実を踏まえると、「シャワーよりも入浴のほうが身体によい」という主張を、すべての方に一律に当てはめることは慎重であるべきです。特に、介護が必要な高齢者や、心疾患・脳血管疾患のある方、立位を保つことが難しい方にとっては、入浴そのものがリスクとなり得る場合があります。

ヒートショックと心血管イベントのリスク

入浴に関連して注目されているもう一つのリスクが「ヒートショック」です。ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心臓や脳の血管に過度な負担がかかる現象です。

たとえば、寒い脱衣所で服を脱ぐと、寒さへの反応として血管が収縮し血圧が急上昇します。そのままの状態で熱いお湯に入ると、今度は血管が拡張して血圧が急低下します。こうした血圧の乱高下が、心筋梗塞や脳卒中、あるいは意識消失を引き起こす可能性があると考えられています。

ヒートショックのリスクが高いとされているのは、65歳以上の高齢者、高血圧・糖尿病・動脈硬化などの基礎疾患がある方、飲酒後の入浴をする方、一人暮らしの方などです。特に冬場の入浴は、脱衣所と浴室の温度差が大きくなりやすいため、リスクが高まる季節とされています。

入浴を習慣化することには確かなメリットがある一方、こうした現実のリスクも正確に理解したうえで、自分の身体の状態や生活環境に合わせた入浴スタイルを選ぶことが大切です。

まとめ

シャワー浴が直接的に血栓を引き起こすという明確なエビデンスはありませんが、シャワーで済ませる生活に付随しがちな「長時間の不動」「脱水」「運動不足」は、ウィルヒョウの3徴に基づく血栓リスクと関わりがあります。入浴には血行促進やリラックス効果といったメリットがある一方、ヒートショックや溺水のリスクも存在します。大切なのは、自分の身体の状態に合わせた入浴習慣と、日常的な水分補給・身体活動の継続です。

参考文献

厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」

日本循環器学会「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」

東京都健康長寿医療センター「高齢者の入浴事故に関する情報」

配信元: Medical DOC

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