薄毛治療の選択肢として注目を集める「植毛」ですが、具体的な内容や治療の流れなどが分からず、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。特に近年では、自毛植毛と人工毛植毛の違いや術後に注意すべきポイントなど、知っておくべき情報が多くあります。そこで今回は、植毛治療の流れと人工毛植毛・自毛植毛について、紀尾井町クリニック東京本院院長の中島陽太先生に詳しく解説していただきました。

監修医師:
中島 陽太(紀尾井町クリニック東京本院)
2010年東邦大学医学部を卒業。東邦大学医療センター大森病院で手術加療を中心に研鑽を積み、泌尿器科助教を歴任。2021年より紀尾井町クリニックにて自毛植毛治療に従事。日本泌尿器科学会専門医・指導医。国際毛髪外科学会、日本泌尿器科学会、日本性機能学会、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会に所属。著作『薄毛の治し方』(現代書林社)。男性ホルモン研究を通じてAGA治療に関心を深め、患者さん一人ひとりに最適な治療法を提案している。
編集部
受診から植毛治療後までの一般的な流れについて教えてください。
中島先生
まずはカウンセリングで、医師から植毛のメリット・デメリットや副作用やリスク、注意点などの説明を受けます。状況や希望を確認して、治療の適応があるか、どの植毛方法(FUT法やFUE法など)が適しているのか、植毛が最善の選択肢かなどを判断します。このカウンセリングには1〜2時間程度かかることもあり、納得のいく治療方針を話し合う大切な時間です。
編集部
治療方針が決まったらどうするのでしょうか?
中島先生
手術を希望する場合は術前の採血検査を行い、後日、日帰り手術として植毛を実施します。術後は希望者に対して診察によるフォローもおこないます。移植した毛は1カ月ほどで一度全て抜け落ちるのと、また移植部に元々生えていた既存毛が一部抜けてしまう「ショックロス」という現象が見られることがありますが、半年〜1年で再びしっかりと生えそろってくるのが一般的です。
編集部
自毛植毛のメリットについて教えてください。
中島先生
自毛植毛のメリットは、自分の毛を使うことで拒絶反応が起きず、自然な仕上がりを実現できる点です。薬が効きにくい生え際や、もともと毛のない部位でも効果が得られ、美容目的(ヘアラインのデザイン修正、眉毛・髭など)にも対応可能です。また、メンテナンスの必要がなく、自分のほかの髪の毛と同様の管理で済みます。洗髪や染髪、パーマも可能で、伸びてきたら散髪するだけです。
編集部
自毛植毛のデメリットは、どのようなことがあるのですか?
中島先生
採取できる毛根には限りがあるため、短期的な効果だけでなく、将来的な変化を見据えて慎重にデザインを決める必要があります。また、植毛には大きくFUT法とFUE法という2つの方法がありますが、そのいずれにしても必ず移植毛を採取した部分には傷痕が残ります。さらに、植毛は自由診療にあたるため治療費が高額になりやすい点や、手術への心理的な抵抗がある方にはデメリットとなることもあります。
編集部
自毛ではない人工毛を植毛することもあるのでしょうか?
中島先生
人工毛植毛は、合成繊維などで作られた人工毛を頭皮に埋め込む方法です。かつては一定の需要がありましたが、感染症やアレルギー、拒絶反応などのリスクが高いことがわかり、現在ではほとんどおこなわれていません。実はアメリカでは安全性の観点から禁止されており、日本でも推奨されていないのが現状です。
※この記事はメディカルドックにて<「植毛」をすればすぐに髪の毛が生えてくる? 結果が現れるまでの期間を医師に聞く>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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