「角膜炎」は放置するとどうなるかご存知ですか?検査法を医師が解説!

「角膜炎」は放置するとどうなるかご存知ですか?検査法を医師が解説!

角膜炎は眼球のくろ目の部分を覆う透明な膜(角膜)に傷がつき、そこから細菌やカビに感染するなど、さまざまな原因によって炎症が起きる病気です。

もしもある日突然、目が開けていられないほど痛む・大量の涙が流れる・目がかすむなど辛い症状に見舞われたら、それは角膜炎かもしれません。

この記事では角膜炎を引き起こすあらゆる検査・治療方法・放置するリスクなどについてご紹介しています。

大切な目を角膜炎から守るために。また角膜炎による目の不調をいち早く快方に導くために、ぜひご参考になさってください。

※この記事はメディカルドックにて『「角膜炎」とは?治療期間・自然治癒するのか・原因も併せて解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

荒井 宏幸

監修医師:
荒井 宏幸(医療法人社団ライト みなとみらいアイクリニック)

防衛医科大学校卒業。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院などで近視矯正手術・白内障手術を中心に診療経験を積んだ後、2010年に現職の「医療法人社団ライト」理事長に就任。医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医。みなとみらいアイクリニック主任執刀医、クイーンズアイクリニック院長、防衛医科大学校非常勤講師。自身もレーシック手術を受けている。講演・出演・著書など多数。

角膜炎の検査方法と治療方法

目を診察する医者

角膜炎の検査方法を教えてください。

角膜炎の検査で最初に行われるのは問診・視診・細隙灯顕微鏡(スリットランプ)検査です。まず問診で発症のきっかけ(異物混入・外傷など)や症状が続いている期間・既往歴の有無などを聞いたうえで角膜の症状を見た目で診察する「視診」を行います。つぎに行われるのは角膜の状態を詳しく検査する「細隙灯顕微鏡(スリットランプ)検査」です。この検査では眼に光を当て反射を顕微鏡で拡大しながら、角膜の表面や内部の状態など眼球の細かな組織を診察します。また感染性の角膜炎を疑う場合には炎症を起こしている角膜の表面をこすり取り、感染の有無やどの病原体が増えてくるのかを調べる「培養検査」が有効です。さらにヘルペスウイルスに起因する角膜炎を疑う場合はナイロンの糸で角膜を刺激して検査する「角膜知覚検角膜知覚検」という検査を行います。角膜炎の原因はさまざまなため、問診・見た目・症状・角膜の状態・感染の有無などを詳細に検査したうえで総合的に判断します。

どのような治療方法がありますか?

さまざまな検査を行って角膜炎の原因が特定できたら、症状に合わせた治療を行います。例えば、コンタクトレンズの連続装用など誤った使い方による角膜炎の場合はコンタクトレンズの使用を控える・感染性の場合は抗菌薬などの目薬を使用する・逆さまつげ・ドライアイなどの病気が原因の場合はその治療を行うなどといった治療方法です。治療には炎症や痛みを抑える「非ステロイド性抗炎症薬(点眼薬)」や眼の炎症を抑える「副腎皮質ホルモン(眼科用外用薬)」・細菌の増殖を阻害する「抗菌薬(点眼薬)」などを使います。また症状によっては内服薬による治療や点滴を行うこともあります。

治療期間はどのくらいかかるのか目安を教えてください。

角膜に傷がついただけの場合はおよそ2~3日もあれば快方に向かうことがほとんどです。
さらにその傷から細菌に感染した細菌性角膜炎の場合はおよそ1ヵ月が治療期間の目安となります。またヘルペスウイルスによる角膜ヘルペスの治療期間はおよそ1~2週間ほどですが、再発しやすい症例のため快方に向かっても引き続き注意が必要です。さらに、まだ特効薬が存在しないアメーバ感染による「アカントアメーバ角膜炎」という症例の場合は治療が数年に及ぶ可能性があります。このように角膜炎の治療期間は原因によってそれぞれ異なるため、眼科医に診察してもらったうえで、よく確認することをおすすめします。

角膜炎は自然治癒することはあるのでしょうか?

眼球の上皮に小さな傷がついた程度の場合は自然治癒する可能性がありますが、すでに角膜に炎症が起こっている角膜炎には自然治癒は期待できません。それはこれまで申し上げてきた通り、角膜炎の原因はじつに多岐にわたるため「角膜にちょっと傷がついただけだろう」などという自己判断で自然治癒を期待するのは大変危険といわざるを得ないからです。軽症なうちにいち早く眼科医で適切な検査をすれば治療も短期間で済む場合がほとんどですが、放っておくと症状が悪化し治療がさらに長引いてしまうことは否めません。角膜炎は自然治癒を期待せず、すぐに眼科医で診察してもらうことをおすすめします。

編集部まとめ

患者に説明する医者

角膜炎は眼球のくろ目にあたる部分の角膜に何らかの原因によって炎症が起こる病気です。

考えられる原因は感染性・外傷性・ドライアイ・関節リウマチなどの病気の影響によるもの・疲れやストレスから引き起こされるものなどたくさんの種類があります。

最初は些細な症状から始まることが多い角膜炎ですが、放置しておくと比較的早いスピードで症状が進行し視力低下や失明などを招いてしまうリスクがともないます。

角膜炎を疑う症状が表れたら、必ず眼科医の早期受診と早期治療を心がけることが大切です。

参考文献

感染症角膜炎の診断・治療のフローチャート|日眼会誌117巻6号

第1章 感染性角膜炎の診断|日眼会誌117巻6号

配信元: Medical DOC

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