脳幹出血を防ぐうえで、日常的な血圧管理と生活習慣の改善は大切な取り組みです。家庭での血圧測定・食事・運動・禁煙など、取り組みやすいことから始めてみましょう。定期健診や脳ドックの活用も、リスクを早期に把握する手がかりになります。焦らず、着実に一歩を踏み出すことが、大切な健康を守ることにつながります。

監修医師:
伊藤 たえ(医師)
浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。
脳幹出血の予防と大人が今すぐできること|生活習慣の見直しと医療機関の活用
脳幹出血は発症してからの対応も重要ですが、発症そのものを防ぐための予防策が長期的にはより大切です。このセクションでは、大人が日常生活で取り組める予防策と、医療機関を上手に活用する方法を解説します。
血圧管理を中心とした日常生活での予防策
脳幹出血の予防において、高血圧の管理は中心的な柱です。血圧を適切な範囲に保つことが、脳血管を守る最も基本的なアプローチとなります。
家庭での血圧測定は、自身の血圧の傾向を把握するうえで有効です。毎朝・毎晩の決まった時間に測定し、記録しておくことで、数値の変化に早く気づくことができます。日本高血圧学会の指針では、家庭血圧の目標値として125/75mmHg未満が推奨されています(2025年版ガイドラインより)。数値が継続して高い場合には、医師に相談することが大切です。
食生活では、塩分を抑えた食事が血圧管理に有効です。1日の食塩摂取量は6g未満が望ましいとされています(日本高血圧学会)。野菜・果物・魚を中心としたバランスのよい食事を心がけ、加工食品や外食での過度な塩分摂取に注意してください。
定期的な有酸素運動(ウォーキング・水泳など)も、血圧の低下や血管の柔軟性維持に役立ちます。無理のない範囲で週3〜5回、1回30分程度の運動習慣を目標にすることが推奨されています。運動の強度は、会話ができる程度のペースが目安です。
禁煙・節酒も、脳血管を守るために欠かせない取り組みです。喫煙中の方は禁煙外来の利用を、飲酒量が気になる方は担当医への相談を検討してください。睡眠の質を高めることも、自律神経を整え血圧の安定に貢献します。
医療機関の受診・定期検査の活用法
予防には、医療機関の定期的な受診と検査の活用が欠かせません。年1回以上の健康診断で血圧・血糖・脂質のチェックを受け、異常値が見られた場合には早めに医療機関を受診することが重要です。
高血圧の治療として降圧薬(こうあつやく)が処方されている場合、自己判断での中止は危険です。症状がなくても薬を継続することで、脳血管を守る効果が期待できます。「薬をずっと飲み続けることへの不安」がある場合は、担当医に率直に相談してください。
脳ドックの受診も、リスクが高いと考えられる方には選択肢のひとつです。MRI検査などで脳の状態を確認することで、無症状の脳血管異常(微小出血・ラクナ梗塞〈こうそく〉など)が見つかることがあります。家族に脳卒中の経験がある方、高血圧・糖尿病・脂質異常症が続いている方などは、神経内科や内科、脳神経外科へ相談のうえで検討してみてください。
日常生活の中でストレスをうまく管理することも、血圧の急上昇を防ぐうえで大切です。趣味や休息の時間を意識的に確保し、過度な負荷が続く場合には心療内科への相談も視野に入れてみてください。「いつもと違う」と感じる身体のサインを軽視せず、早めに医療機関へ足を運ぶことが、脳幹出血の発症を防ぐうえでの大きな一歩となります。
まとめ
脳幹出血は、脳の中でも生命維持に直結する脳幹で起こる出血であり、致死率が高く後遺症も残りやすい病態です。前兆のサインを見逃さず、症状が現れたら迷わず救急搬送を求めることが予後を左右します。大人の方は高血圧・生活習慣病の管理を継続し、定期的な健診や医療機関の受診を習慣にしてください。少しでも不安を感じた場合は、神経内科や内科、脳神経外科へ早めの相談をおすすめします。
参考文献
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」厚生労働省「脳卒中・心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会報告書」 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2025)」
日本脳卒中学会「脳卒中の予防・発症時の対応」 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025~改訂ポイント~」
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