事件後、連絡を絶っていたまなから、今度は遺産相続分を前借りしたいという無心のLINEが届くきます。盗みを働いた上での要求に、ほのかは怒りを通り越し無力感に襲われて…。
お金の無心ばかりの妹
まなのお金持ち逃げ事件から、約1か月と少しが過ぎた。
その間、父は自分も家事を覚えながらシニアの家事代行を取り入れ、生活を立て直していた。私自身も、平日は仕事をしながら週末は実家に通うという生活をして、心身ともに疲れ果てていた。まなからは、一切連絡がない。謝罪のLINEどころか、「元気?」の一言すらない。
その後、ある日突然にまなから突然LINEが来たとき、私は思わずため息をついた。案の定、それはお金の無心だったのだ。
「聞きたいんだけど、お母さんの遺産相続分って私ももらえるよね?いくら?もうすぐ仕事が決まりそうだから、ひとまずの生活費をすぐほしいんだけど。お姉ちゃんの分も少し借りられない?」
挨拶でも、状況説明でも、謝罪も何もない。泥棒をしておいて、よくそんなことが言えるものだ。私は怒りを通り越して、無力感に襲われた。この子は、いつまで経っても自分勝手なことしか考えられない。もしかして、私が尻拭いをすることで、妹のわがままを助長しているのではないだろうか…。
事実上の絶縁を決意
妹は昔から傲慢だったわけじゃない。
むしろ、幼いころはなんでもすぐに謝る子だった。その弱気な部分でいじめに遭ったこともある。父はそんな妹に対して、「すぐ謝るな」とか「くよくよするからいけない」など厳しいことをよく言っていた。そんなことを言われて育ったからなのか、いつしか「謝ったら負け」と思うようになってしまったのかもしれない。そして、人よりお金を大事にする歪んだ認識をするようになってしまったようだ。
私はもう、この妹と関わるのは終わりにしようと決意した。父の面倒を見るのは私。妹には自分のことだけやってもらえればいい。
「相続の手続きはまだだけど、法的にはまなにも権利はある。でもこの間のこともあって、私はあなたを家族として信用してないから」

