「暗闇スマホ」で“あの病気”に?大人が警戒すべき「2つの“症状”」【医師監修】

「暗闇スマホ」で“あの病気”に?大人が警戒すべき「2つの“症状”」【医師監修】

急性緑内障は誰にでも起こる可能性がありますが、発症しやすい方には共通した特徴があります。遠視の方や40代以降の方、女性、家族に緑内障の方がいる方などは、隅角が狭くなりやすい傾向があるとされています。自覚症状がないまま高リスクの状態にある方も少なくないため、自分の眼の状態を知ることがとても大切です。

柳 靖雄

監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

暗闇でのスマホ操作と失明の危険性|スマホが目に与えるほかのダメージ

失明のリスクは急性緑内障だけにとどまりません。暗闇でのスマホ操作は、緑内障以外にもさまざまな形で眼に負担をかけることがわかっています。このセクションでは、スマホが眼に与えるほかのダメージについても整理します。

ブルーライトと網膜への影響

スマートフォンの画面から放出される「ブルーライト」は、可視光線の中でも波長が短く、エネルギーが強い光です。ブルーライトがヒトの網膜に与える直接的なダメージについては現在も研究段階であり、スマホの光だけで直接失明に至るわけではありません。しかし、暗闇の中で明るい画面を見つめる行為が、目に深刻な「眼精疲労」や「強いストレス」を与えることは確かです。

特に暗闇の中でスマホを使用すると、周囲が暗いため瞳孔が開いた状態になります。その状態で明るい画面を見続けることで、より多くの光が眼の内部へ入り込みます。目は無意識のうちに光の刺激に対応しようとしますが、この調節作業が長時間続くことで眼の疲労が蓄積されます。眼精疲労(がんせいひろう)と呼ばれる、目の奥の痛みや頭痛、肩こりなどを伴う症状が現れやすくなるのもそのためです。

ブルーライトが網膜に与える長期的な影響については、現時点でも研究が進められている段階であり、断定的なことはいえません。ただし、短期的な眼精疲労の観点からも、暗闇でスマホの明るい画面を長時間見続けることは目への負担が大きいといえます。

調節緊張(スマホ老眼)と視力低下への影響

スマートフォンを近距離で長時間操作し続けると、眼のピント調節機能を担う「毛様体筋(もうようたいきん)」が緊張し続けます。毛様体筋は水晶体の厚みを変えてピントを調節する筋肉で、近くを見るときほど強い収縮が必要です。長時間の近距離視では、この筋肉が疲弊して一時的に遠くにピントが合いにくくなることがあります。

この状態は「調節緊張」または通称「スマホ老眼」とも呼ばれています。若い方でも発症しやすく、スマホをよく使う年代に広がっている傾向があります。症状としては、スマホを見た後で遠くが見えにくくなる、見えるまでに時間がかかるといったものが挙げられます。通常、目を休めることで回復しますが、習慣的に繰り返すことで慢性化するケースもあります。

暗闇という環境は、こうした調節緊張をさらに悪化させる条件を整えてしまいます。周囲との明暗差が大きいほど、眼はより強い調節を求められるからです。日常的に暗闇でスマホを操作している方は、視力への影響も含めて眼の健康に気を配る必要があります。

まとめ

暗闇でスマートフォンを長時間操作する習慣は、目への負担(眼精疲労・調節緊張・ドライアイ)を増やす可能性があります。すべての方が急性緑内障を起こすわけではありませんが、もともと隅角が狭い方、遠視の方、40代以降の方、女性で家族に緑内障の方がいる方などでは、暗所での散瞳や就寝前のうつむき姿勢が、急性緑内障発作の誘因になり得る点に注意が必要です。

激しい眼痛・頭痛・虹視・急な視力低下が出た場合は、時間を問わず眼科(可能なら救急対応)を受診してください。症状がないうちからの定期検診で、自分の隅角の状態を把握しておくことが、将来の視力を守るうえで重要です。部屋を適度に明るくする、就寝前のスマホ使用を控える、画面の明るさを調整するなど、今日からできる環境改善から始めていただければと思います。

本記事で述べている「暗闇・うつむき姿勢と眼圧・散瞳」は、緑内障リスクのある方にとって注意すべき要素です。一方で、消灯後のスマホ使用と急性緑内障発症を直接結びつけた大規模研究はまだ限られており、スマホを使うすべての方が失明するわけではありません。不安がある方は、症状の有無にかかわらず眼科で隅角検査を受けることをおすすめします。

参考文献

日本緑内障学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」

東京大学医学部附属病院「眼科」

日本眼科学会「目の病気(緑内障)」

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。