秋が来た。散歩中、足元にどんぐりがコロンと落ちている......なんて場面に遭遇した読者も、いるかもしれない。
子供の頃はよく拾ったものだが、大人になると「集めても仕方ないしね」とスルーしがち。でも心の奥底では、大人だってどんぐりを拾いたいのかもしれない。
だって、こんな取り組みが大絶賛を呼んでいる。

2025年10月8日、茨城県にある日立市かみね動物園が公式Xアカウント(@HitachiCity_Zoo)で紹介したのは、「どんぐりポスト」と書かれた箱である。金網からのぞいているのは、たくさんのどんぐりのようだ。
写真には、こんな呟きが添えられている。
「10日間でこんなに溜まりました!みんな拾ってくれてありがとう。動物たちのおやつにします。まだ設置しているので、どんどん拾って入れてね」というコメントが添えられている。
なるほど! 園内に落ちているどんぐりを拾ってポストに入れると、園内の動物たちに食べてもらえるのか!
投稿には7万5000件を超える「いいね」(10月14日時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「作った人頭良すぎ」
「これは天才。こんなの設置されてたら拾うし入れるよね」
「何これすんごい可愛いシステム」
「どんぐりを拾いたい子 どんぐりを持ち帰りたくない親 どんぐりを食べられる動物たち 綺麗になる動物園 これこそWin-Win-Win-Winの最高のシステム!」
「これからどんぐりの季節に大活躍ですね」
「どんぐり拾うためだけにこの動物園に行きたい」
この素晴らしい試みは、いったいいつ頃始まったのか? 集まったどんぐりをおやつに食べているのは、どんな動物たちなのか? 日立市かみね動物園に詳しい話を聞いてみよう。
どんぐりシーズンはこれから

日立市かみね動物園は、茨城県北東部に位置する日立市営の動物園だ。
Jタウンネットの取材に応じた日立市産業経済部かみね公園管理事務所の担当者によると、どんぐりポストがスタートしたのは、2014年だった。
「落ちているどんぐりをみんなで集めて動物たちに届けることで、季節の移ろいを感じながら、来園者と動物がつながるきっかけになればと秋限定のポストを設置しました」(かみね公園管理事務所担当者)
動物の栄養バランスや来園者の安全性の面から、「直接は無理だけど、集めてもらったものを飼育員がエサやりする」という今のカタチになったそうだ。
どんぐりポストが設置されているのは、カバ舎前と、ホンシュウジカ舎前の、園内2か所。集まったどんぐりは、クマ、ニホンザル、リスなど、どんぐり好きの動物たちのおやつになる。

どんぐりとはブナ科の果実の俗称だが、動物園内にはマテバシイ、スダジイ、クヌギ、コナラ、シラカシなど、約500本以上はあるという。どんぐりの実が落ちるのは、例年、10月から11月頃中旬あたりとのこと。
「最近、園内を歩くと、動物ではなく、どんぐりを見つけているためなのか、下を向いているお子さんを見かけることが多くなりました」
「私も幼少期は、わけもなくどんぐりにはまった時期があったので、今の時代の子どもたちも同じなんだな......と思うとほほえましく思います」(かみね公園管理事務所担当者)

ただし、どんなにどんぐり集めが楽しくても、他所で集めたどんぐりは持ち込んではいけない。
「園外のものは農薬や病気の心配があるので、園内で拾ったものを入れてください」と担当者は付け加えた。

良い子の皆さん、どんぐりポストに入れるのは、日立市かみね動物園の中で拾ったどんぐりだけだよ。約束だぞ。
