
郵便配達員たちは毎日、町の隅々まで郵便物を配達して回っている。それが仕事である以上、郵便物がある限り「あの配達先には行きたくない」とはなかなか言えない。しかし配達をしていると、まれに「嫌な感じ」のする住宅に遭遇することがあるという。遠くから見ただけでも背筋がゾッとし、近づけば震えや頭痛もひどくなる。これは霊感のある郵便配達員が実際に経験した、かなり怖い物件の話だ。
■近づくだけで頭痛がする「嫌な家」
その2階建ての古いアパートは、階段の下にいるだけで鳥肌が立つほどだったという。調べてみたが、有名な事故物件サイトにも載っていない。2階の一番奥の部屋から漂ってくる禍々しい気配を感じながら、ほかの住戸への配達をこなしていた。その問題の部屋には人が住んでいる気配はなかったため、「配達がなければ近づかなくていいか」と油断もしていたという。

■全戸配達で突きつけられた残酷な現実
そんな彼に、その部屋まで行かねばならない事情ができてしまう。それはコロナ禍に政府が約260億円もの大金をかけて行った「ガーゼ製布マスクの全戸配達」である。まさかこんな形で彼のもとに厄災が降りかかってくるとは。問題の部屋の窓にはカーテンもなく、これまで郵便物も届かなかったことから人は住んでいないと思われるが、郵便局の原簿上は人が住んでいることになっていたため配達に行かざるを得ない。避けられない現実を前に、彼は意を決して配達に向かった。そして、今でも目に焼き付いて離れないおぞましい光景を目にすることになる。

■現役局員が描く背筋の凍る実録怪異譚
郵便局員が実際に経験した怖い話を漫画化したのは、現役の郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さんだ。漫画を描いているうちに噂を聞きつけた同僚から話が届くようになり、今では他局の局員からも体験談が寄せられるようになったという。

本作「嫌な家」に登場する2つの物件は、どちらもM支店に勤務するYさんが遭遇した事案だ。Yさんはいわゆる「霊感」があるため、結果的に危険な場所を回避できているのだろうが、回避したい場所にも郵便物があれば配達に行かざるを得ないのが郵便配達員のつらいところ。送達ねこさんによると、読者からは「命より仕事を優先するのが日本人って感じ」と驚きの声も寄せられたという。


「郵便屋が集めた奇談」は、読者から「こういう不思議で怖い話って好き」「背筋がゾクッとしたけど、めちゃくちゃおもしろい」と好評だ。日本のどこかの町でひっそりと起こっている“怪異”を覗き見してみてはいかがだろうか。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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