ピーマンの肉詰めで最も多い課題といえば「肉とピーマンが剥がれる」ではないでしょうか。
その対策として、小麦粉(片栗粉等)で打ち粉をする、ピーマンの面は焼かない、肉をパンパンに詰め込む等、様々な方法が紹介されていますが、結局剥がれてしまったという経験をされた方は少なくないはず。
ということで今回は、ほぼ確実に剥がれない、ピーマンの肉詰めをご紹介します。

どういう状態を目指して作る? 料理の前に「おいしい」を定義づけよう!
僕がレシピ開発をする際、必ず最初にしていることがあります。
それは、テーマになる料理の「おいしいの定義付け」です。
今回のテーマ「ピーマンの肉詰め」の「おいしい」を定義します。
①ピーマンが剥がれていない
②肉感があり、ジューシー
③肉/ピーマンの両者が香ばしく焼けている
おそらく、多くの方に納得いただける定義かと思います。
①は、ピーマンに対する下処理で
②は、肉ダネの作り方や焼き方で
③は、焼き方で
解決できそうです。
ここまで明確になったら、次は調理の最適解に落とし込みます。
「ピーマンの肉詰め」の調理工程で肝になる3つのコツとは?
調理工程に落とし込む際に大切にしているのは、各工程の「部分最適」ではなく、料理として完成した時においしく仕上がるための「全体最適」の考え方です。
多くの人が再現可能な「良い塩梅」を踏まえて、おいしさの肝になる3つのコツをご紹介します。
結論:ピーマンの外側に傷をつける (①の最適解)
そもそも、しっかり肉とくっつけたはずのピーマンはなぜ剥がれるのでしょうか?それは、焼いているときのピーマンの様子を観察することで理解できます。肉詰めのピーマンの面を焼くと、ピーマンは外側に向けて広がります。もう少し正確にいうと、外側の方が縮み、その結果、広がります。ということは、外側の縮みを軽減できれば、剥がれなくなるというわけ。そのために、ピーマンの外側に傷をつけるのが効果的なんです。
あとは「どの程度傷をつけるべきか」の塩梅になってくるのですが、研究の結果「フォークで複数回」というところに着地しました。
結論:ひき肉はこねるほど肉感が弱くなるので2種類を混ぜる (②③の最適解)
よくハンバーグのレシピで「ひき肉はよくこねるべきである」とありますが、これはいかなる場合でも正解というわけではありません。好みに応じて、調整すべきです。というのも、よくこねた状態(エマルジョン)は、言うなれば「練り物」。つまり、よくこねると肉感は失われ、こねないほど、肉感が残るということです。この事実を元に、ご自身の好みに合わせて「どのぐらいこねるべきか」を調整すべきなんです。
ちなみに、今回のレシピでは「よくこね」と「ほぼこねない」の2種をミックスすることで、程よい肉感を残すようにしています。
結論:アルミホイルで蓋をして弱めの火で焼く (④の最適解)
これもハンバーグのレシピでよくある話ですが「まずは強火で表面を焼き固める」。これも、いかなる場合においても正解とは言えません。タンパク質は60度付近で分子構造が変化し、色が変わります。変化が起こる際、温度は高ければ高いほど、構造が大きく変化(要は縮むということ)し、内包している水分/脂分を放出します。好みによって、これをよしとするケースもあれば、そうでないケースもあるということです。
今回のケースでは、ピーマンが剥がれないためにも、あまり縮まない方がよい。さらに肉汁を残す観点からも、なるべく低温で焼いた方がよいということになります。
ただし、温度が低いとメイラード反応(140度付近で起こる)が起きにくくなるのですが、それは避けたい。
肉の中まで火を通すため、蒸し調理による加熱はしたいが、蓋で密閉して焼くと、加熱面(鍋)に水滴が落ちる。結果、気化熱で加熱面の温度が下がり、メイラード反応を阻害してしまう。そこで、蓋の代わりにアルミホイルを使います。密閉されなくなるので、水滴落下による気化熱を防ぐことができ、加熱面は140度以上に、かつ内部への火入れもしっかりできる。
以上の理由から、今回のケースでは、アルミホイルで蓋をして弱めの火で焼くのが正解ということになります。
3つのコツを押さえれば、ピーマンの肉詰めが、確実に剥がれることなく、おいしく仕上がること間違いなしです。ぜひお試しください。
こじまぽん助/分子調理学をベースに「なぜおいしくなるか」を解説するレシピ動画をYouTube・クックパッドで公開中。

