「血栓リスク」を“下げる方法”とは?すぐに始められる「3つの習慣」【医師監修】

「血栓リスク」を“下げる方法”とは?すぐに始められる「3つの習慣」【医師監修】

血栓リスクの本質は「シャワー浴かどうか」ではなく、「不動・脱水・運動不足」にあります。このセクションでは、長時間の座りっぱなしを避けるための工夫や、こまめな水分補給の大切さなど、日常生活で取り入れやすい具体的な改善策を紹介します。特別な設備は必要ありません。焦らず、着実に一歩ずつ取り組んでいただけるヒントをお伝えします。

本多 洋介

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

シャワーだけで済ます入浴と危険な入浴法:血栓リスクを下げるための正しい生活習慣

このセクションでは、血栓リスクを正しく理解したうえで、日常生活で取り入れやすい具体的な改善策について解説します。問題の本質は「シャワー浴かどうか」ではなく、「血流のうっ滞・脱水・運動不足」にあることを念頭に置きながら読み進めてください。

長時間の不動を避けるための実践策

血栓リスクのうち「血流のうっ滞」に対して最も直接的に働きかけられるのが、「定期的な身体の動き」です。長時間のデスクワークや在宅勤務が続く場合は、1時間に1回程度、立ち上がって数分歩いたり、ふくらはぎのストレッチを行ったりすることが勧められます。

特に効果的なのが、ふくらはぎの筋肉を収縮・弛緩させる運動です。つま先立ちとかかと落としを繰り返す動作(カーフレイズ)や、座ったまま足首を上下に動かす運動は、下肢の血流を促す効果が期待されています。飛行機や長距離バスに乗る際にも、この動きを意識的に取り入れることが推奨されています。

下肢の静脈血栓症リスクが高いと判断された方には、弾性ストッキング(着圧ストッキング)の着用が医師から勧められる場合があります。弾性ストッキングは下肢に段階的な圧力をかけることで、静脈血の還流(心臓への戻り)を助ける効果があるとされています。ただし、使用に際しては医師の指示に従うことが基本です。

水分補給と生活習慣の見直しで脱水を防ぐ

血液凝固能の亢進(血液が固まりやすくなること)を防ぐうえで、日常的な水分補給は重要な役割を果たします。特に夏場や運動後、あるいは入浴の前後には、こまめな水分補給を心がけることが大切です。

一般的な目安として、成人では1日あたり1.5~2リットル程度の水分摂取が推奨されることが多いですが、個人の体格や活動量、気温によって必要量は変わります。また、カフェインを多く含む飲み物やアルコールは利尿作用があるため、これらを多く摂取している場合は、その分を補う形で水や麦茶などの水分を意識的に摂ることを検討するとよいでしょう。

入浴の前後にも、コップ1杯程度の水分を補給することで、入浴中の発汗による脱水を防ぐ習慣として取り入れやすい方法です。シャワー浴と入浴のどちらを選ぶにしても、こうした水分管理の意識は、血栓リスクの軽減という観点から実践的な意味を持っています。

血栓リスクの軽減に向けた生活習慣の改善は、特別な設備や多大なコストを必要としません。「1時間ごとに立ち上がる」「入浴前後に水を飲む」「毎日少し歩く」という、シンプルな行動の積み重ねが、長期的な健康につながると考えられています。症状が気になる方や、深部静脈血栓症のリスクが高い疾患をお持ちの方は、循環器内科や内科の医師に相談されることをおすすめします。

まとめ

シャワー浴が直接的に血栓を引き起こすという明確なエビデンスはありませんが、シャワーで済ませる生活に付随しがちな「長時間の不動」「脱水」「運動不足」は、ウィルヒョウの3徴に基づく血栓リスクと関わりがあります。入浴には血行促進やリラックス効果といったメリットがある一方、ヒートショックや溺水のリスクも存在します。大切なのは、自分の身体の状態に合わせた入浴習慣と、日常的な水分補給・身体活動の継続です。

参考文献

厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」

日本循環器学会「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」

東京都健康長寿医療センター「高齢者の入浴事故に関する情報」

配信元: Medical DOC

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